DMG森精機は10月30日、2025年度第3四半期(1〜9月)の連結業績を発表した。受注は堅調に推移し、特にEMEA市場の回復が顕著だった。一方、売上収益は納期遅延の影響で前年同期比11.6%減となったが、ロシア製造子会社の収用に伴う保険金受領により、当期利益(EAT)は前年同期比35倍の210億円に達した。
■EMEA市場が牽引、受注単価も上昇
地域別では、EMEA市場が大きく回復。9月にドイツ・ハノーバーで開催された世界最大級の工作機械見本市で、同社の工程集約機や自動化・DX提案が高く評価されたことが受注増に寄与した。米州・インドも堅調に推移し、中国は横ばい、日本・アジアは弱含みとなった。
■売上収益は減少も、保険金で利益急増
売上収益は3,431億円と前年同期比11.6%減。米国関税負担に関する顧客との交渉長期化や欧州製CNCへの対応遅延、輸出許可審査の長期化などが影響し、納期の乱れが発生した。
EBITDAは365億円(同31.0%減)、EBITは115億円(同61.5%減)と減益となったが、ロシア製造子会社の収用に伴う海外貿易保険金169億円(102百万ユーロ)を受領したことで、親会社所有者に帰属するEATは前年同期の6億円から210億円へと急増した。
■第4四半期以降の回復に期待
第3四半期の営業フリーキャッシュフローは81億円の黒字を確保。第4四半期には棚卸資産の売上寄与により、営業フリーキャッシュフローは117億円の黒字を見込む。通期では100億円の黒字計画を掲げる。
2025年度通期では、連結受注額5,150億円(前年同期比4%増)、売上収益5,050億円(同7%減)を予想。EATは220億円(同2.9倍)を見込み、1株当たり配当金は105円(前年:100円)へ増配する方針。
2026年度は売上収益5,200億円程度を計画。期初の機械受注残高は2,250億円と前年より増加し、安定したMRO・スペアパーツ・エンジニアリング事業の成長とともに増収転換を目指す。