・ミドレックスとプライメタルズが建設を担当、年産200万トンHBI生産へ
神戸製鋼所(KOBELCO)は10月21日、同社の100%米国子会社であるミドレックス(Midrex Technologies, Inc.)が提供する最新の直接還元鉄プロセス「MIDREX® Flex™」が、Eurasian Resources Group(ERG)傘下のQazIron ERG LLPによるカザフスタン・ルドニで建設中の大型直接還元鉄(DRI)プラントに採用され、契約が正式に締結されたと発表した。
「MIDREX® Flex™」は、天然ガスを還元剤とする従来のMIDREX®プロセスをベースに、水素の利用比率を柔軟に高められるのが特徴で、製鉄工程でのCO₂排出量を段階的に削減できる。同プロセスを導入することで、従来の高炉法に比べ大幅な環境負荷低減が期待される。
ミドレックスのMIDREX®プロセスは、世界で稼働する天然ガスベースの直接還元鉄プラントの約80%を占めるなど、業界をリードする技術として知られる。さらに同社は、水素還元専用の「MIDREX H2™」プロセスも開発しており、CO₂排出量をほぼゼロに抑える製鉄を実現可能としている。
神戸製鋼所では、これらの技術を通じて鉄鋼業界の脱炭素化に貢献し、カーボンニュートラル実現を目指すとしている。同社グループは中期経営計画(2024~2026年度)で「カーボンニュートラルへの挑戦」を最重要課題の一つに掲げ、変革プログラム「KOBELCO-X」の一環としてグリーントランスフォーメーション(GX)を推進。今回の案件もその取り組みの象徴と位置づける。
今後も神戸製鋼所は、KOBELCOグループの総合力を生かし、環境対応型プロセスの提供や水素活用技術の拡充を通じて、持続可能な鉄鋼供給と低炭素社会の実現に貢献していく考え。
<プロジェクト概要>
• 発注者:QazIron ERG LLP(Eurasian Resources Group傘下)
• 建設地:カザフスタン共和国 ルドニ
• プラント方式:MIDREX® Flex™直接還元鉄プロセス
• 建設:ミドレックス社、プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア社コンソーシアム
• 生産品:HBI(Hot Briquetted Iron)
• 生産能力:約200万トン/年
• 稼働予定:2029年