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荏原、JAXA衛星向け高効率排熱ポンプ試作契約を獲得

・宇宙機冷却の心臓部、二相流排熱システム国産化へ貢献

荏原製作所は10月28日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が推進する戦略的研究開発プログラム「スターダストプログラム」のプロジェクトの一環として、人工衛星用高効率排熱システム向けポンプの試作契約を締結したと発表した。今後進む5G/6G通信の高度化に伴い、人工衛星の電子部品は高発熱化が避けられず、宇宙空間での効率的な排熱が不可欠となっている中、同社はロケットエンジン等で培った宇宙向けポンプ技術を投入し、排熱システムの主要構成部品である冷媒用ポンプの国産化に貢献する。

■開発の背景と急務の国産化

本契約は、「内閣府宇宙開発利用加速化戦略プログラム(スターダストプログラム)」内の「デジタル信号処理に対する高効率排熱システムの研究開発」に関連する。次世代通信普及に伴う高性能衛星の発熱増大は、故障リスクを高める重大な課題であり、JAXAでは高排熱能力を持つ「二相流排熱システム」の研究開発を進めている。
この二相流排熱システムにおいて、冷媒を循環させるポンプは「心臓部」にあたり、システム性能を左右する主要部品となる。国際競争力強化の観点から、この冷媒用ポンプの国産化が急務とされ、今回の試作にかかる企画競争公告が実施された。

■概要:実績技術を投入、2026年3月納入へ

荏原は、これまでロケットエンジン用電動ターボポンプやスラスター向けポンプなどの開発で培ってきた高度な流体技術と宇宙向けポンプの実績が、今回の開発に活かせると判断し、企画競争に参加、契約に至った。

<開発案件名> 2025年度 スターダストプログラム デジタル信号処理に対する高効率排熱システムの研究開発 二相流排熱システム向け性能確認用ポンプの試作(そのア)

同社は本契約に基づき、人工衛星の安定稼働に不可欠な冷却システムの中核となるポンプの設計・試作を進め、2026年3月末までにJAXAへ納入する計画だ。

■将来展望:次世代通信衛星への搭載視野

今回の試作を足がかりとし、荏原は将来的に日本の次世代通信衛星をはじめとする各種宇宙機へのポンプ搭載を目指して開発を継続する方針。スターダストプログラムが掲げる課題解決に寄与するだけでなく、5G/6Gといった高度な宇宙通信インフラを支え、日本の宇宙開発を技術面から強固に支援していく構えだ。

ニュースリリース

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