・業務用は運搬・接客・清掃が主力分野に
国際ロボット連盟 (IFR :International Federation of Robotics): 2025年10月7日
■業務用ロボット、サブスクモデルが拡大
IFR会長の伊藤孝之(Takayuki Ito)氏は、「さまざまな用途でサービスロボットへの需要が強い。初期投資を抑えて自動化を進めるため、購入ではなくレンタルやサブスクリプション契約を選ぶ企業が増えている」と述べた。ロボットをサービスとして提供する「RaaS(Robot-as-a-Service)」の稼働台数は前年比31%増と急伸した。
■業務用市場:運搬・接客・清掃が3大用途
分野別では、運搬・物流ロボットが10万2,900台(前年比14%増)で全体の半数超を占めた。屋内の物品搬送用モバイルロボットが主力で、RaaSモデルの伸び率は42%に達した。
接客・案内ロボットは4万2,000台超で2位(11%減)。商業施設やフロントでの案内・販売促進、遠隔操作によるテレプレゼンス用途などが中心で、飲食提供など新たな応用分野も生まれている。
清掃ロボットは3位で2万5,000台超と34%増。床清掃が主用途で、商業施設や空港などでの導入が広がっている。
4位の農業ロボットは1万9,500台(6%減)とわずかに減少。栽培や搾乳用途の落ち込みが影響した。
警備・救助ロボットは3,100台(19%増)で5位となり、その約75%が警備用途だった。
■医療ロボットが急拡大、前年比91%増
IFRは医療ロボットを独立したカテゴリーとして分類しており、2024年の販売台数は1万6,700台と91%増と急伸した。特にリハビリ・非侵襲治療ロボットが106%増、手術ロボットが41%増、診断・検査用ロボットが610%増と大幅な伸びを示した。
IFRサービスロボット委員会のヴェルナー・クラウス(Werner Kraus)委員長は、「医療ラボの自動化が今後の大きな成長機会だ。人手不足の中で、サービスロボットは医療従事者の負担軽減と高齢化社会への対応に寄与する」と述べている。
■家庭向けロボットは2,000万台規模に
一般消費者向けのサービスロボットは、2024年に約2,000万台が販売され、前年比11%増となった。床掃除や芝刈りなどの家庭用ロボットが中心で、欧州とアジア太平洋地域ではそれぞれ16%の伸びを記録。一方、アメリカ地域では掃除ロボットのシェア低下により1%減少した。
IFRは「World Robotics 2025 Service Robots」のデータについて、294社のサンプルに基づくものであり、業界全体の推計ではないと説明している。同報告書および産業用ロボット版の購入申し込みはオンラインで受け付けている。