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ボッシュ・レックスロス、オープン自動化プラットフォーム「ctrlX AUTOMATION」を拡張

・AI・安全性・演算能力を強化

ボッシュ・レックスロス(Bosch Rexroth):2025年10月14日

産業自動化がソフトウェア中心化・ネットワーク化・AI活用の方向に進む中、ボッシュ・レックスロス(Bosch Rexroth)は自社のオープン自動化プラットフォーム「ctrlX AUTOMATION」に新機能を追加した。ハードウェア拡充、AI機能の強化、安全PLCのアプリ化、新アプリ群の追加、そして用途別ソリューションセットなどを導入し、より柔軟で効率的な自動化を実現する。

同社が掲げる「自動化の大幅な単純化」という目標のもと、ctrlX AUTOMATIONはハード・ソフト・アプリを統合する形で提供されており、開発期間の短縮と迅速な価値創出を狙う。今回の拡張はその方針をさらに推し進めるものとなる。

■ハードウェアの拡充とAI機能の追加

制御プラットフォーム「ctrlX COREplus」は、すべての性能レベルでAI機能に対応。オプションのAIモジュールにより、データをエッジ側で効率的に処理・解析できる。AIやビジョンアプリケーション向けに演算能力・メモリ容量・通信機能を強化したほか、ローカルでのデータハンドリング能力も高めた。

また、NVIDIA 2000A GPUを搭載したスケーラブルIPCにより、エッジでの画像処理・AI演算性能を大幅に向上。ctrlX OSを組み込んだIPCも登場し、HMI(ヒューマンマシンインターフェース)は従来比で2倍の性能を小型筐体で実現している。

I/Oモジュールは23機種が追加され、オートメーションおよびインフラ用途での適用範囲を拡大。さらに、ドライブシリーズ「ctrlX DRIVE」には、よりコンパクトかつ省エネルギー、キャビネットレスでモジュール化されたタイプを追加した。

物流向けモーションシステム「ctrlX FLOW」シリーズも拡充され、リニアモーション用の「ctrlX FLOWHS」にはスイッチ機能が加わり、「ctrlX FLOW6D」には小型ムーバー仕様が登場している。

■安全PLCをアプリ化 ― ハードウェア不要の「ソフトセーフティ」

新アプリ「Safety PLC」により、これまで別CPUを必要としていた機能安全をハードウェアに依存せず実現できるようになった。マルチコアプロセッサの冗長処理機能を活用し、既存のctrlX CORE上で安全機能を動作可能にする。これにより、省スペース化とコスト削減を両立できる。

ボッシュ・レックスロスのオートメーション&電動化ソリューション事業部セールス担当上級副社長ステフェン・ウィンクラー(Steffen Winkler)氏は、「追加の制御ハードウェアなしで安全機能を実装でき、機械設計をよりシンプルかつ経済的に進められる」と述べている。

■ctrlX OSストアに新アプリ ― セキュリティ機能も強化

オープンOS「ctrlX OS」のエコシステムは拡充を続けており、現在86種類のアプリが利用可能。IoT・通信・ビジョン・エンジニアリング分野のアプリを提供するほか、新たに導入された「Security Scanner」では、ネットワーク全体の機器を自動スキャンし、セキュリティ状態を評価・可視化できる。これにより、潜在的な攻撃経路を早期に特定して対策が可能となる。

■用途別ソリューションセット ― 短期間での導入を支援

ハードとソフトを最適に組み合わせた「ソリューションセット」も新たに展開。これにより、統合リスクを低減し、プロジェクト期間を短縮する。

たとえば「モバイルロボット向けソリューションセット」では、制御装置・I/Oモジュール・レーザーベースの位置決めソフトを組み合わせ、移動ロボットやフォークリフトの高精度な自己位置推定を実現する。ウィンクラー氏は「ソリューションセットにより、典型的な用途を基にした迅速な導入が可能になり、価値創出までの時間を大幅に短縮できる」と説明する。

■AIによる支援機能「Ask iXi」を追加

サービス面では、AIバーチャルアシスタント「Ask iXi」を導入。2025年のSPS見本市に合わせて公開予定で、ウェブサイトやエンジニアリングツール「ctrlX WORKS」内で利用できる。製品や機能、ドキュメントに関する質問に24時間対応し、設計支援から運用までをサポートする。

ウィンクラー氏は「Ask iXiはデジタル・コパイロットとして、ユーザーが必要な情報を即座に得られるよう支援する。今後もAIアプリをctrlX OSエコシステム全体に展開し、構成から実装まで自動化のあらゆるレベルでAIを統合していく」と述べている。

ボッシュ・レックスロスは、ctrlX AUTOMATIONを軸に「ソフトウェア駆動の自動化」への転換をさらに加速しており、AI・安全性・柔軟性のすべてを備えた次世代オートメーション基盤として進化を続けている。

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