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ドイツのエンジンメーカーDEUTZとARXロボティクス、無人防衛システム分野で戦略的提携へ

・デジタル駆動・エネルギー供給分野で協業、欧州防衛力強化を目指す

DEUTZ:2025年10月16日

ドイツの駆動装置メーカーであるDEUTZ(ドイツ)は10月16日、無人地上防衛システム(UGV)の開発を手掛けるARX Robotics (以下、ARXロボティクス、独オーバーディング)と、デジタル化された駆動・エネルギー供給分野で戦略的提携を進めると発表した。DEUTZはARXロボティクスの資金調達ラウンドに主導投資家として参加し、両社の協力体制を強化する。

DEUTZのセバスチャン・シュルテ(Dr. Sebastian Schulte)社長兼CEOは、「無人・半自律型の防衛システムは今後、各国軍において極めて重要な役割を担う。ARXの先進的なソフトウェア・ロボティクス技術と、当社の駆動システムや分散型エネルギー供給、産業生産の強みを組み合わせることで、欧州の防衛力を持続的に強化できる」と述べた。

今回の提携では、DEUTZの高性能な駆動システムをARXの無人地上車両に搭載する計画で、初期段階ではバッテリー駆動システムを採用し、将来的には小型内燃機関やハイブリッド駆動への展開も視野に入れる。また、ARXのAI駆動型ソフトウェア「Mithra OS」とDEUTZ製ドライブシステムを連携させるインターフェースの共同開発も行う。

さらに、DEUTZはエネルギー・ニューテック事業部門を通じて、発電機や蓄電システム、交換式バッテリーなどの「現場用エネルギーインフラ」を提供。ARXはドイツ社のグローバル生産・サービスネットワークを活用することで、規模を問わず迅速な生産体制と国際的なアフターサービス網を確保できるようになる。

ARXロボティクスのマーク・ヴィートフェルト(Marc Wietfeld)共同創業者兼CEOは、「この提携は欧州の技術的主権とDEUTZの産業基盤を守る大きな一歩だ。Mithra OSの知能とドイツ製の高品質駆動・モバイルエネルギー・工業生産能力を融合することで、部隊への無人システム供給を加速し、稼働率と信頼性を高めることができる」と語った。

ARXロボティクスは最近、ドローンメーカーのヘルシング(Helsing)とも連携し、AIを活用した偵察・攻撃ネットワークの開発を進めている。両社はウクライナで得た実戦データや技術経験をもとに、地上作戦でのネットワーク化を推進している。

一方DEUTZは、9月にドローン向け駆動装置メーカーのゾーベック(SOBEK)を買収。これにより、無人防衛システム分野における包括的なシステムプロバイダーとしての地位を固めた。DEUTZは近年、複数の企業買収や技術提携を通じ、産業企業と新興テクノロジー企業の協業モデルを推進しており、今回のARXロボティクスとの提携もその一環となる。

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