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千代田化工、愛知製鋼知多工場向けに水電解装置納入へ―オンサイト型低炭素水素製造事業

・経産省認定事業、風力発電活用で2025年代後半の稼働目指す

千代田化工建設は10月10日、豊田通商、ユーラスエナジーホールディングス、岩谷産業の3社が愛知製鋼知多工場で計画するオンサイト型低炭素水素製造供給事業に、トヨタ自動車と共同開発中の水電解装置を納入する計画を発表した。

本プロジェクトは、経済産業省が推進する「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素等の供給及び利用の促進に関する法律」に基づく価格差支援制度の認定を受けている。同制度は、低炭素水素の基準価格と既存燃料の参照価格との差額を15年間にわたり支援するもので、水素社会実現に向けた政府の本格的な後押しとなる。

■再エネ由来電力でオンサイト製造

事業スキームは、愛知製鋼知多工場の敷地内に水電解装置を設置し、ユーラスエナジーが所有する風力発電所の電力を活用して低炭素水素を製造・供給する計画。需要地でのオンサイト製造により、輸送コストや輸送時のエネルギーロスを削減できる点が特徴。

納入予定の水電解装置は、トヨタの燃料電池技術を応用したセルスタックの量産技術と、千代田化工建設のプロセスプラント設計技術、大規模プラント建造技術を融合させた製品。トヨタ製スタックを用いて千代田化工建設が製造・販売する体制で、自動車産業で培われた量産技術のプラント分野への応用として注目される。

■水素バリューチェーン構築へ総合力発揮

千代田化工建設は総合エンジニアリング会社として、水素バリューチェーンの全領域で事業を展開している。水素輸送キャリア技術や水素利活用技術の開発、プラントのEPC(設計・調達・建設)に加え、今回の水電解装置納入により、最上流の水素製造分野にも本格参入する形となる。

製鉄業界では脱炭素化に向けて水素活用が急務となっており、愛知製鋼での実証は今後の業界展開のモデルケースとなる可能性がある。再生可能エネルギー、水素製造、需要家をつなぐ本プロジェクトは、カーボンニュートラル実現に向けた産業間連携の先行事例として業界の注目を集めそうだ。

<プロジェクト概要>
• 事業主体: 豊田通商、ユーラスエナジーホールディングス、岩谷産業
• 設置場所: 愛知製鋼知多工場(愛知県)
• 装置納入: 千代田化工建設
• 電力供給: ユーラスエナジー所有風力発電所
• 政府支援: 経産省認定・価格差支援制度適用(15年間)

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