・生産体制を再編へ
食品メーカーの一番食品(福岡県飯塚市)は、主力製品であるラーメンスープやレトルト食品の需要拡大に対応するため、飯塚市鯰田の栗尾工業団地に新工場を建設する。10月6日には飯塚市役所で企業立地協定締結式が行われ、同社の有吉崇社長と武井市長が協定書を取り交わした。
同社は、共働き世帯の増加や外食需要の高まりを背景に、過去5年間で主力製品の需要が約1割増加。既存設備では生産が追いつかない状況が続いていた。このため、生産能力の強化を目的に、市内で稼働中の5工場のうち3工場を新拠点へ集約し、製品によっては最大1.5倍の増産を見込む。新工場では半自動化ラインの導入により、作業負担の軽減や品質の安定化を図る方針。
集約対象となる3工場は、新工場の稼働が安定するまで並行して操業を続け、その後順次解体を予定。跡地については、新たな生産設備や倉庫への転用も検討されている。
締結式で有吉社長は「創業の地・飯塚市を離れたくなかった」と述べ、武井市長は「企業拠点の整備を通じて地域の雇用や定住促進につながる」と期待を示した。
昭和34年創業の同社は、調味料やスープなどのオーダーメイド食品を手がけ、全国および海外へ製品を供給。1トン未満の小ロット注文にも対応できる「適量生産」体制を強みとしている。9月末時点で従業員611名のうち364名が飯塚市民であり、地域密着型の企業として成長を続けている。
<新工場概要>
所在地:福岡県飯塚市鯰田(栗尾工業団地)
敷地面積:約24,000㎡
事業内容:ラーメンスープやレトルト食品の製造
着工:2026年1月(予定)
操業開始:2030年1月(予定)
投資額:70〜75億円(予定)