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日野・三菱ふそう統合、新持株会社「ARCHION」は2026年4月始動、国内トラック生産3拠点に集約

日野自動車三菱ふそうトラック・バスは10月9日*、両社を傘下に収める新持株会社の名称を「ARCHION(アーチオン)株式会社」とすることを発表した。2026年4月1日の事業開始を予定しており、ダイムラートラックとトヨタ自動車がそれぞれ25%の持分比率を保有する方針。

新会社名の「ARCHION」は、弓型構造物を意味する「ARCH」と、悠久の時を表す「EON」を組み合わせた造語。両社をつなぐ絆と、輸送の未来を次世代に受け継ぐ志を込めた。本社は東京都品川区に置き、東京証券取引所プライム市場への上場を目指す。

■経営陣は国際色豊かな布陣

代表取締役CEOには三菱ふそうのカール・デッペン氏が就任予定。CFOには同じく三菱ふそうのヘタル・ラリギ(Hetal Rarig)氏が就く。注目すべきは、持株会社にCTO(最高技術責任者)ポジションを新設し、日野の小木曽聡社長が就任する点だ。これはグループ全体の技術ロードマップ策定と、研究開発における技術シナジーの実現を狙ったもの。非常勤取締役には住友理工の伊勢清貴氏とダイムラートラックのクリスチャン・ヘルマン氏が就任予定で、独立社外取締役4名は11月上旬に発表される。

■統合プラットフォーム戦略で競争力強化

ARCHIONグループの中核戦略は「統合プラットフォーム戦略」だ。大型、中型、小型トラックのプラットフォームを統合し、両社の強みを掛け合わせることで製品競争力を高める。日野とふそうの両ブランド車両を相互活用することで、顧客により充実した製品ポートフォリオを提供していく方針だ。

開発機能の統合では重複投資を削減し、リソースの最適配置を進める。調達面では購買機能を統合して購買ボリュームを集約することで、直接・間接調達の広範なカテゴリーで大幅なコスト削減を図る。

■2028年末までに国内生産3拠点に集約

生産体制の最適化も大胆に進める。現在5か所ある国内トラック生産拠点を、2028年末までに川崎製作所(神奈川県川崎市)、古河工場(茨城県古河市)、新田工場(群馬県太田市)の3か所に集約する計画。日野の羽村工場はトヨタへ移管し、三菱ふそうの中津工場の生産は川崎製作所へ統合される。この再編により、コスト、品質、リードタイムの改善を実現する。

■CASE技術開発を加速

統合により生み出したリソースは、既存技術の進化とCASE技術開発の加速に振り向ける。特に電動車開発では、トヨタ、ダイムラートラックを含めた4社の技術資本とスケールメリットを活かし、各セグメントで市場をリードする製品を投入する。

水素領域では、ダイムラートラックとトヨタの協業により世界トップレベルの燃料電池システムを開発し、普及を図る。自動運転領域でも開発を加速させ、コネクテッド領域では車両データの効果的活用により顧客価値を高めるソリューションを強化していく。

■ 「お客様起点」で競合同等以上の収益目指す

デッペンCEO候補者は「ARCHIONを通じて、アジアにおける商用車のリーディングカンパニーとなり、業界の変革を推進する」と意気込みを語った。ラリギCFO候補者は「財務のレジリエンスとパフォーマンスを業界のベンチマーク水準へと引き上げる」と強調。小木曽CTO候補者は「何よりもまず、お客様を起点に物事を考え、お客様のビジネスの成功に貢献する」と述べ、4社の力を合わせたCASE技術開発の加速を約束した。

包括的なシナジー戦略により競争力を向上させ、競合他社同等以上の収益レベルを目指す。「商用車の未来をともに作る」という目標のもと、両ブランドは市場で切磋琢磨しながら互いの価値を高め、持続可能な輸送に貢献していく構えだ。

本件は、関連する取締役会の承認と株主・当局の承認を前提に進められる。協業の詳細については今後発表される予定。

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