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欧州建設機械業界、競争力喪失の危機感強める

・VDMA、構造的課題と国際市場の変化に警鐘──「ブリュッセルとベルリンは今こそ行動を」

ドイツ機械工業連盟(VDMA):2025年9月30日.

欧州の建設機械・建材設備メーカーが、長期的な競争力低下への懸念を強めている。ドイツ機械工業連盟(VDMA)建設機械・建材設備部門は9月末の理事会後、世界市場の構造変化と欧州域内の制度的障壁が、業界の持続的成長を阻害しているとする声明を発表した。

「世界の建設需要は今後も拡大することは間違いない。しかし、我々はその成長の果実に参画する機会を奪われつつある」。VDMA理事会はこう警鐘を鳴らす。

声明によれば、ロシア制裁の影響に加え、中国・インドなどの主要市場では現地生産以外の供給が困難となっており、欧州メーカーの参入障壁が高まっている。加えて、第三国市場では中国勢による支配的かつ不公平な競争が横行しており、欧州製品の競争力が著しく低下しているという。

さらに、EUと米国の貿易協定も期待された安定性をもたらすには至らず、米国による鉄鋼関税の拡大とそれに伴う行政手続きの煩雑化が、建設機械業界にとって新たな障壁となっている。これは、欧州委員会委員長 ウルズラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)による当初の説明とは異なる結果だ。

欧州市場における輸出代替も容易ではない。高コスト構造や過剰な規制が足かせとなり、国内回帰による収益補填は現実的でない。業界は長年にわたり、善意に基づくものの過度な持続可能性規制の見直しを求めてきたが、実効性ある改革は進んでいない。

インフラ投資の必要性も指摘されるが、VDMAは「非効率な制度に資金を投入するより、まずは構造改革が急務」と訴える。

VDMA建設機械・建材設備部門の会長 ヨアヒム・シュトローベル(Joachim Strobel)氏は次のように語る。「今年の売上減が5%程度にとどまる見込みなのは幸いだが、問題は景気変動ではなく、構造的な障害にある。今は数字に表れていないが、数年後には深刻な影響が顕在化するだろう。ブリュッセルとベルリンが今すぐ行動しなければ、欧州の競争力は徐々に失われ、メーカーは域外への移転を余儀なくされる」。

業界は今、制度改革と国際競争力の再構築を求めている。欧州の政策決定者にとって、対応の猶予はもはや残されていない。

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