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芝浦機械、米欧向け新型油圧機「S-GenXt」シリーズ発表

・K 2025で世界初公開、型締力850トンまで順次展開

芝浦機械は9月26日、米州・欧州市場向けの新型油圧式射出成形機「S-GenXtシリーズ」を開発したと発表した。10月8日からドイツ・デュッセルドルフで開催されるK 2025(国際プラスチック・ゴム産業展)で世界初公開する。電動機需要の高まりが続く中、コストパフォーマンスと高出力を重視する顧客層への対応を強化する狙い。

新シリーズは型締力100トン、180トン、230トンの3モデルでスタート。今後は850トンクラスまで順次ラインアップを拡充し、多様化する市場ニーズに応える計画。

■先進技術で差別化図る

「S-GenXtシリーズ」の最大の特徴は、タイバーブッシュレス構造のダイプレート採用にある。この技術により、サイクルタイム短縮と成形品の清浄性を同時に実現。食品容器や医療機器など、清浄性が要求される用途での競争力向上を図る。

機械精度の面では、リニアガイド採用により金型開閉や射出動作の繰り返し精度が大幅に向上。メンテナンス性も改善し、長期間の安定稼働を可能にする。

操作性では最新コントローラ「INJECTVISOR VH100」を搭載。直感的な操作で作業効率化を実現するとともに、Industry 4.0や遠隔監視・制御にも対応し、スマートファクトリー化のニーズに応える。

■電動機一辺倒に一石投じる

近年、米欧市場では省エネ性や精密性の観点から電動式射出成形機の需要が急拡大している。しかし一方で、初期コストの高さや高出力での制約などから、油圧式やハイブリッド式を求める声も根強い。

特に大型成形品や高圧成形が必要な用途では、油圧式の優位性は変わらない。同社は「電動機一辺倒」の市場動向に対し、最新技術を搭載した高性能油圧機で差別化を図る戦略である。

■グローバル戦略の一環

新シリーズ投入は、同社の欧米市場攻略の一環でもある。今年5月にはドイツに現地法人を設立し、26日にはドイツの射出成形機メーカーLWB Steinl社の子会社化も発表するなど、欧州事業を急速に拡大している。

米州市場でも環境規制強化や人手不足への対応が課題となっており、省力化・自動化対応の射出成形機需要は底堅い。同社はこうした市場環境を追い風に、新シリーズでの巻き返しを狙う。

油圧式射出成形機市場では中国メーカーの低価格攻勢が続いているが、日本メーカーには高付加価値・高性能での差別化が求められている。芝浦機械の新シリーズが、この競争構図にどのような変化をもたらすか注目される。

【S-GenXtシリーズ概要】

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