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ドイツ機械工業連盟(VDMA)、日欧機械産業の協力強化を模索

・インダストリー4.0分野での連携拡大に期待

ドイツ機械工業連盟(VDMA):2025年9月22日

世界的な貿易摩擦の拡大を背景に、ドイツ・欧州と日本の機械産業界が協力関係の強化を図る動きが本格化している。ドイツ機械工業連盟(VDMA)のベルトラム・カヴラート(Bertram Kawlath)会長が今週訪日し、業界関係者や日本の政治家らと意見交換を行った。

■貿易不均衡解消への取り組み

東京での記者会見でカヴラート会長は、機械・プラント建設分野での協力拡大の可能性を強調。「両国とも高度に発達した輸出志向の産業を有しており、開放的な市場と信頼できる枠組み条件に依存している」と述べ、「VDMAは日本との協力深化を、多国間貿易関係の強化と現在の課題に対する共同対処への重要な一歩と捉えている」との見解を示した。

しかし、2019年発効のEU日本経済連携協定(EPA)にもかかわらず、独日間の機械貿易はドイツ側の赤字が続いている。2024年のドイツの対日機械輸入額は約28億ユーロと、前年(38億ユーロ)比25%減少。2025年上半期は15億ユーロと2%の微増に転じた一方、ドイツから日本への機械輸出は同期間中12億ユーロと9%減少した。

カヴラート会長はこの状況について「日本市場がドイツ・欧州の機械製品にとって依然として参入困難であることを示している。これは製品品質の問題ではなく、構造的な原因がある」と分析。日本が開放的市場である一方で、顧客産業の国内志向により国内企業が優位に立っていることが、国際企業の参入を困難にしていると指摘した。

■共通課題への対応

欧州諸国と日本は類似した課題に直面している。高齢化社会への対応、持続可能な生産方法の模索、特に中国による市場歪曲行為への対処などが挙げられる。カヴラート会長は世界貿易機関(WTO)とその自由貿易ルールの影響力低下を憂慮し、中国を念頭に「ダンピングに対する相殺関税など、競争適合的措置が今後のEU貿易政策でより重要な役割を果たすべきだ」と主張した。

■技術協力の拡大に期待

VDMAは日本機械工業連合会(JMF)と長年にわたり関係を維持しており、定期会合や業界トピックに関する情報交換が両国関係の重要な柱となっている。特にインダストリー4.0分野での技術協力について、カヴラート会長は大きな可能性を見込んでいる。

欧州企業はデジタル化、自動化、人工知能(AI)、IoT分野で大幅な進歩を遂げており、「日本とのシナジーを活用し、パートナーシップを深化させて『インダストリー4.0』をさらに推進し、これらの技術の潜在能力を最大限活用する時が来ている」と訴えた。

■今後の展望

世界的な保護主義の台頭と中国による市場歪曲行為への懸念が高まる中、技術先進国である日本と欧州の連携強化は、両地域の機械産業にとって戦略的重要性を増している。特にデジタル技術を核とした新たな産業革命の推進において、両者の協力は国際競争力の維持・向上に不可欠な要素となりそうだ。

ニュースリリース

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