・伝統産業から未来産業へ、製造業の新たな可能性を示す
三一(SANY ):2025年9月19日
中国の建設機械大手、三一重工(SANY Heavy Industry)が、デジタル・インテリジェント化による抜本的な事業変革を推進し、従来の製造業から未来産業への転換を加速している。同社は「スマート製造」「スマート製品」「スマート運営」の三本柱で新質生産力を体現する事例として注目を集めている。
■世界最高水準のスマート工場を展開
北京杭打工場の実績は特に注目される。機械による意思決定システムの導入により、労働生産性を85%向上させ、生産サイクルを従来の30日から7日に77%短縮した。デジタルツイン、工程デジタル設計、生産ライン柔軟配置、スマート生産調整など35のスマート製造シナリオを実装し、工業情報化部から初回「卓越級スマート工場」認定を受けている。
■機器から総合ソリューションへの進化
特に露天採掘デジタル・インテリジェントソリューションでは、リモート制御ショベルおよび鉱業用ローダーなどの知能製品を基盤として、作業員を現場から離れた場所で安全に作業できる環境を実現。デジタル・自動化鉱山管理システムにより、資源配分、経路計画、作業調整を最適化し、全体作業効率の大幅向上を達成している。
■データ駆動による運営革新
エネルギー効率管理においては、自社開発の産業インターネット(IIoT)プラットフォームが1.9万台の設備、3.3万台の計器、6.1万台のカメラをリアルタイムオンライン接続。「ピーク・バレー・フラット」スマート調整アプリケーションにより、生産設備のエネルギー消費分析と動的スケジューリングを実施し、低電気料金時間帯に高エネルギー消費作業を優先配置することで精密節電を実現している。
2022年から2024年の間、同社は省エネ・消費削減プロジェクトを通じて累計約2億元(約40億円)のエネルギーコストを削減した。
■業界標準モデルとしての意義
三一重工のデジタル変革は、建設機械業界のみならず実体経済全体における新質生産力の育成・拡大に向けた標準モデルを提示している。より知能的で、より環境に配慮した、より効率的な時代への確実な歩みは、中国製造業の高品質発展に強力な原動力を注入している。
同社の取り組みは、従来産業から未来産業への転換における具体的な実践例として、グローバル製造業界からの注目が高まっている。