三菱重工業は9月18日、フランス・サン=ポール=レ=デュランスで建設中の国際熱核融合実験炉イーター(ITER)向けに、ダイバータ外側垂直ターゲット20基を新たに受注したと発表した。ITERに設置予定の同ターゲット全58基の製作は日本に割り当てられており、今回を含め計38基の製作を同社が担うことになる。
ダイバータはトカマク型核融合炉の中枢機器のひとつで、プラズマ維持のため燃え残り燃料や不純物を排出する役割を担う。表面が直面する熱負荷は最大20MW/㎡に達し、これはスペースシャトルの約30倍に相当する。外側垂直ターゲットはプラズマからの強烈な熱・粒子負荷に晒されるため、極めて複雑かつ高精度の加工技術が要求される。
三菱重工はすでにITER向け主要機器としてトロイダル磁場コイル(TFコイル)19基のうち5基を製作し、2023年までにすべて出荷済み。今後は水平ランチャーなどの機器製作や、ITERに続く核融合原型炉の設計・開発支援にも関与し、核融合エネルギーの実用化に寄与していく考え。
<受注概要>
対象:イーター向けダイバータ外側垂直ターゲット
数量:新規20基
通算:全58基のうち38基を三菱重工が受注済み
発注者:量子科学技術研究開発機構(量研)