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米カミンズ、次世代「X10」エンジンに高出力エンジンブレーキを初搭載

カミンズ社(Cummins Inc.):2025年9月10日

カミンズは、新型「X10」エンジンに同社バルブトレイン技術部門が開発した高出力密度(HPD®)エンジンブレーキを初めて搭載すると発表した。新エンジンは中・大型車両向けに投入され、建設車両、地域輸送、路線バスなど幅広い用途に対応する。

X10は燃料種を問わず展開できる「HELM™」シリーズの一環で、従来の「L9」および「X12」を置き換えるモデル。今回搭載される1.5ストロークHPDエンジンブレーキは、従来の圧縮開放式ブレーキに比べ、高回転域で最大40%、低回転域では最大2倍の制動力を発揮。小型~中型排気量エンジンで大排気量並みの補助制動性能を実現し、燃費向上と保有コスト低減に貢献する。

従来のエンジンブレーキがカム回転ごとに1回の圧縮開放と排気再循環を行うのに対し、1.5ストロークHPDではシリンダー休止機構を用いて主排気バルブを排除し、1回転あたり2回の圧縮開放を実現。2回目の圧縮開放は吸気を使わず排気マニホールドガスを再循環させて行う仕組み。

X10向けには3気筒版と6気筒版が用意され、それぞれ従来のL9(中型車両用)とX12(大型車両用)の後継を担う。3気筒版は最大320hp(2300rpm)、6気筒版は最大475hp(2300rpm)の制動力を発揮する。

X10プログラムリーダーのラネー・アイザーク氏は「10リッター級のエンジンながら、13リッター車並みの制動力を実現できる点は顧客に高く評価されている。試乗したOEMやユーザーからは『これまで体験した中で最も強力なエンジンブレーキだ』との声もある」と述べた。

HPDはカミンズ・バルブトレイン技術の共通モジュール設計に基づき、他のバルブ制御技術との統合が可能。すでに6つのエンジンプログラムで開発が進められている。将来的には燃費改善や排出ガス低減を狙った完全なシリンダー休止機構(CDA)への拡張も視野に入る。

なお、HPD技術は2016年に2ストローク型、2018年に1.5ストローク型がそれぞれ発表されたもので、2022年にカミンズが買収したジェイコブス・ビークル・システムズの開発による。

■カミンズ社について
カミンズ(Cummins Inc.)は、米国インディアナ州コロンバスに本社を置く世界的なパワーソリューション企業。エンジン、コンポーネンツ、ディストリビューション、パワーシステム、Accelera by Cumminsの5事業を展開し、ディーゼル・天然ガス・電動・ハイブリッドパワートレイン、後処理装置、ターボチャージャー、燃料システム、バルブトレイン技術、制御システム、電動化技術、水素関連技術など幅広い製品群を提供している。
1919年の創業以来、従業員数は約6万9600人、2024年12月期の売上高は341億ドル、純利益は39億ドルを計上。グローバルな製造・販売・サービス網を背景に「Destination Zero」戦略を推進し、持続可能なエネルギー転換を顧客とともに実現することを目指している。

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