・半導体・建機市場の成長需要に対応、AI予知保全と熱変位抑制技術で無人化運転を支援
オークマは9月10日、半導体製造装置や建設機械、金型等の大物部品を高精度に加工する大型立形マシニングセンタ「MB-100V」を開発したと発表した。同機は、同社の門形マシニングセンタとMB-Vシリーズの技術を融合し、MB-Vシリーズ最大となるテーブルサイズ3,000mm×1,000mmを搭載。人手不足や技能伝承が課題となっている大物部品加工現場の生産性向上を支援する。
■成長市場の需要取り込みへ
MB-100Vは、MB-Vシリーズの最上位機種として、熟練技能が必要な大物部品の高精度・高能率加工を、加工経験の少ない作業者でも実現可能とする。大物部品の段取りや搬入出、切粉処理など負担を要する作業も安全かつ簡単に行えることで、人手不足や世代交代、人材の流動化が進む生産現場をサポートする。
■AI予知保全で無人運転を実現
主要な特長として、優れた切粉処理性能と予知保全により生産ロスを最小化し、長時間の連続自動運転を実現する。大量の切粉も一掃する「クロスレールシャワー洗浄」により、加工部品や治具、機内の清掃作業を大幅に削減し、稼働率を向上させる。
機械に搭載したAIが機械状態を判断し、不意の機械故障による生産ロスを未然に防止する「AI機械診断機能」を搭載。主軸軸受や送り軸のボールねじの故障を事前に検知する予知保全により、突発的なマシンダウンを防ぐ。
■熱変位7μm以下を実現
精度面では、高剛性構造を有する門形マシニングセンタの長期間精度安定性とMB-Vシリーズの熱変位抑制技術を融合。経験が少ない作業者でも大物部品の加工精度を高いレベルで安定維持できる。
具体的には、機械が自律的に高精度を安定維持する知能化技術「サーモフレンドリーコンセプト」により、経時熱変位7μm以下(環境温度8℃変化時)を実現。室温変化による熱変位が原因の精度不良を大幅に削減し、大物部品加工で必要なスキルやノウハウを要する寸法確認や寸法補正の頻度を削減する。
■作業性向上と省スペース化を両立
作業性と操作性の向上により大物部品加工における作業者負担を軽減する。機械の背面側に作業ドアと副操作盤を標準適用し、前面からでは手が届かない奥側の段取り作業にも配慮。無理な姿勢での作業を無くして安全を確保し、作業効率も向上させる。
省スペース化も実現し、門形構造の採用で加工領域を従来機比16%拡張しながら、設置面積を32%縮小した。鋼材部品の最大加工能力は704cm³/min(被削材:S45C、エンドミル加工)と高能率加工を実現し、スループットを最大化する。
■工程集約でリードタイム短縮
工程集約により大物部品の移動や段取り作業を大幅に削減し、省人化とリードタイム短縮を実現する。ワイドなY軸移動量により実現可能な割出機能付アングルヘッドで、幅1,000mm相当の大物部品を多方向から加工可能とし、側面加工の工程を集約できる。
今回のMB-100V開発により、立形マシニングセンタ「MB-Vシリーズ」から門形マシニングセンタまで、幅広いサイズの部品加工に対応するラインナップが完成。様々な産業の生産現場における人手不足や技能伝承、作業負荷の課題をジャストフィットな機械で解決し、最高の品質と生産性を提供するとしている。
<製品仕様概要>
- 移動量:X軸3,200mm、Y軸1,250mm、Z軸750mm
- テーブル作業面積:3,000×1,000mm
- 最大積載質量:6,000kg
- 主軸最高回転速度:No.40で15,000min⁻¹、No.50で12,000min⁻¹
- 所要床面積:8,995×3,095mm
- 機械質量:25,000kg