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ダイキン工業、油機事業で減収減益も構造改革を推進、25年3月期売上717億円に減収、FUSION25戦略で事業拡大目指す

ダイキン工業は8月28日発表の統合報告書で、油機事業(Oil Hydraulics)の業績動向と今後の戦略を明らかにした。2024年3月期の売上高は764億円(前期比20.5%増)、営業利益は53億円(6.0%増)と好調な業績を記録したが、2025年3月期は売上高717億円(前期比6.2%減)、営業利益17億円(同67.9%減)と減収減益となった。

◾️市場環境と業績推移

同社の油機事業は1929年に日本で初めて高圧ピストン式エンジンメーカーとして事業を開始。現在は米国、世界の産業発展に貢献している。油圧制御技術とモーター・インバータ技術を融合したハイブリッド油圧システムにより、環境に配慮した油圧ポンプや油圧ユニットなどの開発・生産を行っている。

2021年度から2025年3月期にかけて売上高は329億円から717億円へと拡大したものの、2024年3月期の764億円をピークに2025年3月期は6.2%の減収となった。営業利益についても53億円から17億円へと大幅な減益となった。

◾️事業環境の変化

産業機械用油圧機器では、国内や欧州で景気低迷の影響を受け、グローバルで工作機械向けを中心に需要が減少傾向にある。建機・車両向け油圧機器でも、米国で景気低迷や設備投資抑制の影響を受けて市場が減速している。

国内市場および米国市場向けの販売が減少したことにより、売上高は前期を下回った。建機・車両向け油圧機器では、国内市場および米国市場向けの販売が減少した。

◾️2026年3月期の戦略

2026年3月期に向けて、産業機械用油圧機器では欧州での冷媒規制や環境意識の高まりを背景に、デュプロマティック社と提携し現地ニーズを捉えたハイブリッド製品を投入し販売拡大を目指す。米国事業では、現地でのエンジニアリング機能を強化し、現地のエンドユーザーの修理・保全ニーズに一貫対応するワンストップアプリケーションの展開に注力する。

建機・車両向け油圧機器では、カスタマイズ提案による創客開発と、差別化商品の投入によりグローバルでのさらなるシェア拡大を目指すとしている。

◾️FUSION25戦略の展開

同社は中期経営計画「FUSION25」の戦略として、脱炭素化に向けた省エネ建設の高まりを受け、これまで培ってきた技術力を活かした高効率商品のラインアップを拡充すると発表。産業機械用油圧機器では、米国でソリューション事業を拡大するとともに、アジア・中国での収益性向上を図る。また、ドイツを中心とする欧州市場への本格参入を果たし、グローバルでの事業拡大を加速させる方針。

建機・車両向け油圧機器では、日本で顧客密着の提案営業を強化するとともに、米国で小型建設機械向けに高効率で長時間性に優れた差別化商品を投入し、シェアアップを図るとしている。

◾️主要製品ラインアップ

同事業の主要製品には、油圧ポンプ、油圧バルブ、油冷却装置、インバータ制御ポンプ・モーター、油圧トランスミッション、集中潤滑機器・装置などがある。R32冷媒を使用した新環境対応オイルコンAKZ Bシリーズも発売しており、従来のシリーズに比べ消費電力を大幅に削減する製品開発にも力を入れている。

統合報告書2025(2025年3月期)

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