
中国建設機械大手の三一重工(SANY、本社・北京)は8月22日、2025年上期(1~6月)の決算を発表した。売上高は前年同期比15.0%増の445億3,400万元(約8,907億円)、営業利益は47.8%増の60億9,500万元、純利益は46.0%増の52億1,600万元と増収増益を確保した。営業活動によるキャッシュフローは20.1%増の101億3,400万元で、財務基盤の健全性も強まった。
第2四半期(4~6月)は売上高が11.4%増の234億8,500万元、純利益が37.8%増の27億4,500万元。6月末の総資産は1,536億2,100万元、株主資本は734億8,500万元に達した。
三一重工2025年上期データ
◾️主力製品の動向
油圧ショベルの売上高は174億9,700万元(15.0%増)で、国内シェア首位を維持しつつ、世界市場でも拡大傾向が続いた。クレーンは78億400万元(17.9%増)と好調で、国内シェアは40%超に達した。特に大型・中型クローラークレーンが市場を牽引し、海外での販売も伸長した。杭打機械は15.1%増の13億4,100万元、道路機械は36.8%増の21億5,900万元と成長が際立った。一方で、コンクリート機械は74億4,100万元と6.5%減少した。
◾️海外事業の拡大
海外売上は263億200万元(11.7%増)となり、コア事業売上の60.3%を占めた。地域別ではアジア・オーストラリアが114億5,500万元(16.3%増)、欧州61億5,200万元(0.7%増)、米州50億6,500万元(1.4%増)、アフリカ36億3,000万元(40.5%増)。アフリカ市場が突出して伸び、インフラ需要や鉱山開発案件の増加が追い風となった。海外事業の粗利益率は31.2%と前年同期から1.0ポイント改善しており、収益性の向上も確認できる。
◾️成長戦略と経営方針
同社は「グローバル化、デジタル化、低炭素化」を中核戦略に据え、製品の高付加価値化と効率経営を推進している。研究開発では「1+5+N」のグローバルR&D体制を整備し、上期には80以上の新製品を海外市場に投入した。製造部門ではインテリジェント生産の導入を進め、販売面では400社超の海外子会社・合弁会社・代理店によるネットワークを構築。海外従業員の7割を現地採用とし、現地対応力を強化している。物流面では、国内7カ所の倉庫と5カ所の地域中核倉庫、約1,000の海外部品倉庫を組み合わせたグローバル供給網を整えた。
財務面でも営業キャッシュフローの増加や未払金の健全化など、収益性と安全性のバランスを重視した経営が続く。純利益率は前年同期から2.5ポイント上昇し11.7%となった。
◾️業界環境と見通し
中国国内市場は、超長期国債の発行や設備更新需要、新エネルギー移行の加速といった政策支援を背景に回復傾向が続いている。海外では鉱物開発やエネルギーインフラの旺盛な需要があり、引き続き成長余地が大きいと見られる。三一重工は主力分野でトップシェアを維持しつつ、海外事業の拡大と収益基盤の強化を進め、世界市場での競争力を高める構えだ。
(1元=約20円換算、上海証券取引所コード600031)
関連
・1〜9月売上は4.2%増の 578億9,000万元 三一(SANY ):2024年11月4日※1…
機械ニュース
環境プラント大手のカナデビアが8月5日発表した2026年3月期第1四半期(4~6月)連結決算は、売…
プロジェクトニュース
北川鉄工所が8月8日に発表した2026年3月期第1四半期(4〜6月)連結決算によると、売上高は13…
機械ニュース