■全体概況
2025年度は国内・輸出ともに縮小し、出荷金額全体では2年連続の減少。2026年度は一部機種に回復が見られるものの、小幅な改善にとどまり、通年で前年並みと予測されている。
■国内出荷:2025年度は4%減、26年度は横ばい見通し
2026年度は、安定した公共投資に下支えされ、出荷金額は横ばいで推移する見通し。上期は4,185億円(前年同期比±0%)、下期は4,628億円(同±0%)と予測され、通年では8,813億円となる見込み。
■輸出:25年度は3%減、26年度は横ばい予測
2026年度は、金利水準の安定によりミニショベルやトラクタが回復し、出荷額は通年で1兆9,644億円(同±0%)と横ばいが見込まれている。
建設機械出荷金額推移(2022年度~26年度予測まで5年間)
油圧ショベル・ミニショベルの2025年度及び26年度生産出荷台数予測
■会員の見方:国内需要の背景
会員企業による見通しでは、公共投資については25・26年度ともに「横ばい」との回答が多数を占めたが、下期は「増加」の見方が増加傾向にあった。民間設備投資も同様に「横ばい」が中心ながら、25年度下期からは「増加」が「減少」を上回った。住宅投資についても、両年度で6〜7割が「横ばい」との見方を示し、「減少」見通しは後退傾向にある。
■会員の見方:海外需要の背景
北米市場については、25年度は「減少」の見方が多数を占めたが、26年度には「増加」「横ばい」が増加。欧州市場は両年度とも「横ばい」が主流だが、26年度は「増加」の見方が顕著に増加した。オセアニアを含むアジア市場(中国除く)は「横ばい」が中心ながら、26年度は「増加」の見方が強まった。一方、中国市場は25年度は「減少」が多数派だったが、26年度は「横ばい」の見方が増えた。
■需要に影響を与える要因
国内ではポジティブ要因として「公共投資」(123件)、「民間設備投資」(109件)、「為替動向」(25件)が多く挙げられた。一方、ネガティブ要因では「資源価格動向」(66件)、「鋼材価格」(62件)、「物流費」(42件)が目立った。
海外では、「為替状況」(76件)、「公共投資」(66件)、「民間設備投資」(50件)がプラス要因とされる一方、「為替動向」(56件)、「ロシア・ウクライナ情勢」(40件)、「中東の紛争」(39件)がリスク要因とされた。
なお、調査では13項目の影響要因から優先順位をつけて3つまで回答を求め、影響度は①=3点、②=2点、③=1点で加算された。
■米トランプ政権の影響:見方は分かれる
「増加」派はオイル・ガス関連の投資拡大に期待を寄せ、「現状維持」派はインフラ整備と関税リスクが相殺されると分析。「減少」派は関税引き上げ、インフレによる購買力低下、景気減速を懸念し、慎重な姿勢を見せた。
■調査概要
本調査は、建機工が2025年7月時点での正会員60社を対象に実施したもので、建設機械9機種に分類し、2025年度・2026年度の上下期それぞれの国内出荷額・輸出額をアンケート方式で予測。今回で68回目の実施となる。