・堅調なキャッシュフロー継続も、価格下落とコスト増で利益は減少
Caterpillar (キャタピラー):2025年8月5日
Joe Creed(ジョー・クリード)CEOは、「当社チームは引き続き顧客成功に集中し、四半期を通して堅調な業績を上げた。インフラ支出とエネルギー需要の継続的な拡大により、各セグメントで強い受注を確認している」とコメントしている。
■第2四半期の部門別状況
<Construction Industries>(建設産業)
同部門の利益は12.44億ドルとなり、前年同期(17.41億ドル)比で29%減少。価格下落と関税コストの増加が主な要因である。
• 売上減少の主因は価格実現の悪化で、販売台数の減少(主にディーラー在庫の変動に起因)も影響。
• 地域別動向:
• 北米:価格実現の悪化およびディーラー在庫減少の影響で売上減。
• 中南米:ブラジルレアルの為替影響とディーラー在庫減により売上減。
• EAME(欧州・中東・アフリカ):販売台数増とユーロ高により売上増(価格実現は悪化)。
• アジア太平洋:販売台数増により売上増(価格実現は悪化)。
<Resource Industries>(資源産業)
売上高は30.87億ドルで、前年同期(32.06億ドル)比で4%減。価格下落が主な減少要因である。利益は5.37億ドル(前年同期:7.18億ドル)で25%の減益。価格要因に加え、製造コスト増(関税含む)や販売構成の悪化が響いた。
• 売上・利益の減少要因は価格実現の悪化(9,400万ドル)、製造コスト増(4,400万ドル)、および販売台数と製品構成の影響(3,100万ドル)。
• 製造コストの上昇は主に関税の影響。
<Energy & Transportation>(エネルギー&輸送)
同部門の利益は15.85億ドル(前年同期比4%増)。販売増益や価格上昇効果があったが、製造コストの悪化(関税増含む)も確認された。
• 売上高:78億3,600万ドル(前年同期比4億9,900万ドル増、7%増)
• セグメント利益:15億8,500万ドル(前年同期比6,000万ドル増、4%増)
• 成長要因:データセンター向け大型往復エンジン、タービン関連サービス好調
• 一部相殺要因:海運部門、国際機関車納入減少
<FINANCIAL PRODUCTS SEGMENT(金融商品セグメント)
売上高は10.42億ドルで、前年同期より3,800万ドル(4%)増加。収益資産の増加や保険サービスの伸長が要因となった。利益は2.48億ドルとなり、前年同期比9%の増益。株式評価益や収益資産の増加が好影響をもたらした一方で、貸倒引当の積み増しや利回り低下が一部打ち消した。
延滞率は前年同期の1.74%から1.62%に改善した。貸倒損失(回収控除後)は前年と同じ1,800万ドル。信用損失引当金は2.9億ドルで、融資残高の0.94%に相当する(前年末は0.91%)。
■通期見通しと企業戦略
キャタピラーは、建設・鉱山機械、ディーゼルおよび天然ガスエンジン、産業用ガスタービン、ディーゼル電気機関車における世界的リーディングカンパニーであり、2024年には売上収益ともに648億ドル(約9兆5,904億円、148円換算)を記録した。同社は100年にわたり、顧客の持続可能な世界づくりに貢献し続けており、低炭素社会への移行にも積極的に対応している。今回の決算では、インフラ支出からの堅調な需要が販売を支えたが、グローバルな価格動向および通商環境の変化が利益面に影を落とす結果となった。今後も、キャタピラーは「建設機械」「資源産業」「エネルギー&運輸」の3部門に加えて、金融商品を通じたサービス展開により、全方位で成長戦略を続ける構えである。
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