・建て替えより安価、CO2削減にも貢献
日鉄エンジニアリング(東京都品川区)は8月4日、ごみ処理施設の基幹的設備改良工事2件を連続で受注したと発表した。袋井市森町広域行政組合の「中遠クリーンセンター」と登別市の「クリンクルセンター」で、いずれも同社が建設・運営してきた施設の延命化を図る工事となる。
■20年から30年の大幅延命を実現
今回受注した2件の工事は、当初の耐用年数を超えて施設を長期間安定稼働させることを目的としている。
袋井市森町広域行政組合の中遠クリーンセンターでは、稼働から17年が経過したシャフト式ガス化溶融炉(132t/日・2炉)の主要設備を更新・改良し、20年程度の延命を目指す。工期は2025年5月27日から2029年3月20日まで。環境省の循環型社会形成推進交付金事業として実施され、竣工後は省エネルギー化によるCO2排出量削減も実現する。
一方、登別市のクリンクルセンター焼却処理施設では、流動床式焼却炉(123t/日・2炉)について、当初計画していた2029年までの30年間稼働からさらに10年延長し、2039年まで40年間の稼働を目標とする改修工事を実施する。工期は2025年7月3日から2029年3月26日まで。
■建て替えより経済的、環境負荷も軽減
廃棄物処理施設の基幹的設備改良工事は、新たな施設への建て替えと比較して大きなメリットがある。費用を大幅に抑えられるほか、施設の高効率化によるCO2排出量削減や、建設費から運転・維持管理費、解体費までを含めたライフサイクルコスト全体の削減が可能となる。
■豊富な実績を活かした提案力
同社は廃棄物処理施設の納入実績が累計60件を超える環境プラントメーカーで、シャフト式ガス化溶融炉、流動床式焼却炉のほか、ストーカ式焼却炉についても2024年度に2件を完工している。長年の建設・運営・維持管理実績を活かし、今後も施設の老朽更新を検討する自治体に対して基幹的設備改良による延命化提案を積極的に行い、循環型社会の実現に貢献していく方針。
全国の自治体が抱えるごみ処理施設の老朽化問題に対して、延命化という選択肢が注目を集める中、同社の技術力と実績が評価された形となった。
■案件概要
<袋井市森町広域行政組合 中遠クリーンセンター 基幹的設備改良工事>
• 発注者:袋井市森町広域行政組合
• 受注者:日鉄エンジニアリング株式会社
• 施設概要:シャフト式ガス化溶融炉、132t/日・2炉
• 工期:2025年5月27日~2029年3月20日
• 工事内容:20年程度の延命とCO2排出量削減のための主要機器の更新・改良
<登別市 クリンクルセンター焼却処理施設 改修工事>
• 発注者:登別市
• 受注者:日鉄エンジニアリング株式会社
• 施設概要:流動床式焼却炉、123t/日・2炉
• 工期:2025年7月3日~2029年3月26日
• 工事内容:2039年まで延命化するための主要機器の更新・改良等