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旭化成ライフサイエンス、ウイルス除去フィルター「プラノバ™」の新紡糸工場建設を決定

・2030年稼働予定、宮崎県延岡市に4番目の製造拠点

 旭化成ライフサイエンス(東京都千代田区)は7月29日、ウイルス除去フィルター「プラノバ™」の将来的な需要拡大に備え、宮崎県延岡市に新たな紡糸工場を建設することを発表した。新工場の建設は2026年7月に着工、2030年1月の稼働開始を予定しており、同社として4番目のセルロース膜中空糸の紡糸拠点となる。

 この新工場では、既存製品である「プラノバ™ 15N、20N、35N、75N」に加え、次世代セルロース膜「プラノバ™ S20N」の製造も行う予定。建設費用の一部については、経済産業省が推進する「ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業」の補助金交付が決定している。

 「プラノバ™」は、バイオ医薬品や血漿分画製剤などの生物学的製剤の製造工程において、ウイルス除去とタンパク質透過性の両立を実現するフィルターとして高い評価を受けている。2021年には次世代モデル「S20N」、2024年には高透水性を特徴とする「FG1」を上市し、ニーズの多様化に対応してきた。

 同社によると、バイオ医薬品市場は今後も拡大が続き、2032年には世界市場が5,000億米ドルを超えると予測されている。これに伴い、製薬企業の新薬開発・生産需要が高まり、同製品の安定供給体制の強化が急務となっていた。2024年5月には、延岡市において新たな組立工場が竣工していたが、さらなる生産能力の増強が求められる中、今回の紡糸工場建設に至った。

 同社バイオプロセス事業部長の金澤有祐氏は、「今回の新工場建設により『プラノバ™』の世界的プレゼンスを一層高め、安定供給体制を強化できることを嬉しく思う。補助金によって、有事の際の国内ワクチン供給にも貢献していきたい」とコメントしている。

 旭化成ライフサイエンスは今後も、生物学的製剤の製造に求められる信頼性・効率性の向上に貢献すべく、研究開発および設備投資を強化し、革新的なバイオプロセス製品とソリューションの提供を継続する方針だ。

<新工場の概要>

所在地:宮崎県延岡市旭町(既存工場隣接地)

建設開始:2026年7月(予定)

操業開始:2030年1月(予定)

【用語補足】

※1 紡糸:ポリマーを細い糸状に加工する工程 ※2 バイオ医薬品:バイオ技術で製造されたタンパク質・ペプチド製剤 ※3 血漿分画製剤:血漿中の有効成分を精製した治療薬 ※4 生物学的製剤:生物由来成分を含む医薬品 ※5 出典:Biopharmaceuticals Market Report(https://market.us/report/biopharmaceuticals-market/)

 ニュースリリース

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