・地域熱供給への全国初導入で脱炭素を推進
産業用ボイラ大手のヒラカワ(大阪市北区)は7月18日、自社が開発した「水素混焼ボイラ(JSN-2000HM)」が、東京臨海熱供給株式会社の青海南プラント(東京都江東区)にて稼働を開始したと発表した。地域の冷暖房・給湯を担う熱供給設備に水素混焼ボイラが導入されるのは全国で初めてで、東京都の臨海副都心地区における脱炭素化の取り組みの一環として設置された。
ヒラカワの水素混焼ボイラ「JSN-2000HM」は、最大で都市ガスと水素を50%ずつ混焼できるハイブリッド仕様が特徴。都市ガス専焼と比較して最大約21%のCO₂削減効果を持つほか、NOx(窒素酸化物)排出量は業界トップクラスの40ppm(O₂=0%換算)を達成しており、都市部の厳しい環境規制にも適合する。
ヒラカワは2016年から水素ボイラの開発に着手し、水素インフラの整備状況を踏まえ、都市ガスとの併用が可能な混焼方式の製品化に舵を切った。2019年には高温燃焼時のNOx発生を抑える独自技術を確立。BCP(事業継続計画)対応として、水素供給が困難な場合でも都市ガス専焼への即時切替が可能な設計となっている。
同社は「持続可能な社会の実現に向けて、水素を活用した製品展開を通じ、カーボンニュートラルに貢献していく」とコメントしており、今後も環境配慮型製品の開発と導入を加速する方針だ。
なお、本導入については東京都も同日、「全国初!地域熱供給における水素混焼ボイラの稼働を開始」として公式リリースを発表している。
<製品概要>
• 製品名:HydroMix Series(JSN-2000HM)
• タイプ:水素混焼小型貫流ボイラ
• 蒸気量:2,000kg/h(1台)
• 混焼比率:都市ガス50%・水素50%(容積比、最大)