Epiroc(エピロック ):2025年 7月18日
※ SEK(スウェーデンクローナ)は約15円。MSEKは百万SEK。カッコ内は前年同期実績
■第2四半期(4〜6月)
• 受注は 15,276 MSEK(前年同期16,349)で7%減少。為替の影響はマイナス9%であり、有機的成長は2%増。
• 売上高は 15,130 MSEK(同16,511)で8%減少。為替の影響はマイナス9%、有機的成長は1%増。
• 営業利益は 2,831 MSEK(同2,921)。この中には主に効率化施策に関連する比較可能性に影響する項目が -153 MSEK(同-325)含まれている。営業利益率は18.7%(同17.7%)。
• 調整後営業利益は 2,984 MSEK(同3,246)で、調整後営業利益率は19.7%(同19.7%)。
• 一株当たり当期利益(基本)は3%増の 1.74 SEK(同1.69)。
• 営業キャッシュフローは 1,104 MSEK(同1,609)。
• ネット有利子負債/EBITDA比率は0.82(同1.04)。
• Epirocは、オーストラリアのFortescue社向けに完全自律型かつ電動の露天採掘機器を納入する契約(総額350 MAUD=22億SEK相当、5年間)を獲得。このうち約 100 MSEK相当が当四半期の受注に計上された。
■Helena Hedblom(ヘレナ・ヘドブロム)社長兼CEOのコメント
・鉱山需要の高まり
鉱山顧客の投資意欲は近年高まっており、探鉱分野も含め、自動化・電動化ソリューションへの関心が継続して増加しています。一方で、建設業界からのアタッチメント需要は依然として低調でした。前四半期と比較した場合、グループ全体の受注は有機的に1%増加しました。
短期的には、鉱山分野の需要は引き続き高水準を維持する見通しですが、建設業界からの需要は引き続き弱いと予想されます。
・売上高と収益性
営業利益には、-153 MSEKの一時的項目が含まれており、このうち-6 MSEK(前年同期:-18)は株式報酬型長期インセンティブ制度に関する引当金の変動によるものです。残りのMSEK -147は、カナダ・ラングレーにある工具製造拠点の閉鎖(-70 MSEK)などの効率化施策に関連しています。
調整後の営業利益率(EBIT)は前年と同じく19.7%で、主にTools & Attachments部門における効率改善が寄与しました。
・利益ある成長
当社は引き続き、利益ある成長の実現に注力しており、拠点の統合や非戦略的な製品ラインの廃止などの施策を講じています。また、現在の関税をめぐる不確実性に対応するため、物流や流通の最適化、グローバル製造の活用、代替サプライヤーの検討、顧客・サプライヤーとの協力によるリスク緩和措置を進め、機動力とグローバルな対応力を強化しています。
・キャッシュフロー
営業キャッシュフローは1,104 MSEK(1,609)で、営業利益の減少および運転資本の増加によりマイナスの影響を受けました。直近12か月のキャッシュコンバージョン率は94%(90%)でした。
・価値を生むイノベーション
私はR&D出身であることから、Epirocが最先端のソリューションを市場に届ける際にその一翼を担っていることを誇りに思います。本四半期には、Diamec探鉱リグ向けに、自動ロッドマガジンといった複数の革新技術を発表しました。これにより、作業者の安全性が高まると同時に生産性も向上します。
さらに、スウェーデンのBoliden社クリスティネベリ鉱山では、ABBおよびBolidenとの協業による電動ランプ輸送ソリューションを導入しました。これは、従来のディーゼルトラックに比べて生産性を23%向上させた事例です。上り坂でのトラック速度は50%向上し、メンテナンスコストは25%削減。さらに、トラックが下り坂を走行する際やパンタグラフに接続されている際には、バッテリーへのエネルギー回生が無制限に行われます。
・安定性と長期的視点での価値提供
変化の激しい不確実な世界においても、私たちはお客様および投資家に対する安定した価値提供と長期的な関係構築を堅持してまいります。当社の目標は、魅力的なニッチ市場で、最も革新的かつ生産性の高いソリューションを提供することにより、財務的に優れた成果を実現することです。
私たちは、サービスやアフター市場の精度によってお客様の事業を支え、すべての業務において卓越性を追求し続けます。私たちはこれからも、より早く適応し、より多くのイノベーションを生み出し、常により良いやり方を探してまいります。
■ 受注:南米での大型案件が下支え
同期の受注高は15,276 MSEK(前年同期16,349 MSEK)で、前年比7%減少した。為替のマイナス影響(▲9%)が響いたものの、実質ベース(オーガニック)では2%増と堅調だった。
地域別では、南米および北米で受注が伸び、特に南米では大型機械の受注が業績を押し上げた。一方で、その他の地域では減少した。
分野別では、鉱山業界からの受注が全体の79%(前年同期77%)を占めたのに対し、インフラ(建設)関連は21%(同23%)とやや縮小した。
なお、前四半期(2025年1~3月期)との比較では、受注は実質で1%の増加だった。
■ 売上収益:微増にとどまるもアフター市場は堅調
売上収益は15,130 MSEK(前年同期16,511 MSEK)で8%の減少。為替によるマイナス影響(▲9%)が大きかったが、実質では1%増加した。ブック・トゥ・ビル比率(受注/売上高)は101%(前年同期99%)と良好だった。
売上の内訳では、アフターマーケットが全体の67%(前年同期66%)を占め、安定収益源としての重要性を改めて示した。
■ 利益:為替の影響で減益も、営業利益率は改善
営業利益(EBIT)は2,831 MSEK(前年同期2,921 MSEK)となり、為替要因を主因として減益となった。
この中には、比較不能項目として▲153 MSEK(前年同期▲325 MSEK)が含まれており、その内訳は、株式報酬制度にかかる引当金の変動が▲6 MSEK(同▲18 MSEK)、カナダ・ラングレーの工具工場閉鎖などの効率化施策に関連する費用が▲147 MSEKだった。
営業利益率(EBITマージン)は18.7%(前年同期17.7%)に改善し、比較不能項目を除いた調整後営業利益率は19.7%で前年と同水準だった。為替の影響がプラスに働いた一方で、実質ベースでは若干のマイナスだった。
金融収支は▲131 MSEK(同▲265 MSEK)。うち、純金利は▲198 MSEK(同▲231 MSEK)だった。
税引前利益は2,700 MSEK(前年同期2,656 MSEK)に増加。法人税費用は▲597 MSEK(同▲612 MSEK)で、実効税率は22.1%(同23.0%)。最終利益は2,103 MSEK(同2,044 MSEK)となった。
1株当たり利益(EPS)は1.74 SEK(前年同期1.69 SEK)で、3%の増加だった。
資本利益率(ROCE)は20.2%(同22.4%)と低下したが、これは主にM&Aによるのれん等の無形資産増加と営業利益の減少が影響した。自己資本利益率(ROE)は22.4%(同22.9%)だった。
■ 上期(1~6月)累計:増収増益を確保
2025年1~6月期の受注高は31,862 MSEK(前年同期30,511 MSEK)で4%増。実質では5%増と堅調だった。
売上収益は30,666 MSEK(同30,654 MSEK)で横ばい。オーガニックでは2%増加している。
営業利益(EBIT)は5,919 MSEK(同5,681 MSEK)に増加。比較不能項目は▲164 MSEK(同▲452 MSEK)で、主に効率化施策に関する費用と株式報酬引当金(▲17 MSEK)が含まれる。前年はM&Aや再編コストなどが嵩んでいた。
営業利益率は19.3%(前年同期18.5%)に改善し、調整後営業利益率は19.8%(同20.0%)だった。調整後では為替効果がプラスに寄与したが、オーガニックではマイナス影響があった。
税引前利益は5,581 MSEK(同5,300 MSEK)、最終利益は4,299 MSEK(同4,054 MSEK)だった。1株当たり利益(EPS)は3.56 SEK(同3.35 SEK)に増加した。
営業キャッシュフローは2,673 MSEK(前年同期3,387 MSEK)で、前年を下回った。
■ 主要トピックス:南米・インドで大型受注、製造再編も進展
四半期中および直後には、以下の主な事業活動があった:
• 2025年4月2日:鉱山向け無線通信技術企業「Radlink」の残り株式を取得し、完全子会社化
• 4月9日:インドに新しいロックドリル工具工場を開設
• 4月15日:インドで280 MSEK規模の大型鉱山機械を受注(Q1に計上済)
• 4月15日:史上最大となる22億 SEKの契約獲得(自律走行および電動鉱山機械)
• 4月24日:米国でレベル1の預託証券(ADR)を設定
• 5月8日:定時株主総会開催。配当(3.80 SEK/株)や取締役選任案などを可決
• 5月21日:北米の穿孔工具生産拠点を統合すると発表
• 7月8日(期末後):チリで235 MSEK規模の鉱山機械およびデジタルソリューションを受注
■ 総評:鉱山分野がけん引も、建設不振と為替が重し
エピロックは、南米・インドを中心とする鉱山分野の需要に支えられ、堅調な業績を維持した。一方で、建設分野の低迷と為替の逆風が利益圧迫要因となっている。今後は、北米製造拠点の再編や、新興市場での大型受注を成長のドライバーとする戦略が鍵を握る。
■ Epiroc( エピロック)について
Epirocは、鉱業およびインフラストラクチャの顧客にとってグローバルな生産性パートナーであり、持続可能な社会への変革を加速します。画期的な技術により、Epirocは、掘削リグ、岩石掘削、建設機器、地上および地下用途向けのツールなど、革新的で安全な機器を開発し、提供しています。同社はまた、世界クラスのサービスやその他のアフターマーケットサポート、および自動化、デジタル化、電化のためのソリューションを提供しています。Epirocはスウェーデンのストックホルムに拠点を置き、2024年に約640億SEK (約9,600億円)の収益を上げ、約19,000人の情熱的な従業員が約150カ国で顧客をサポートし、協力しています。詳しくはwww.epirocgroup.comをご覧ください。
ニュースリリース
第2四半期レポートはニュースリリース内にあります。
*リリース内容から「ですます調」で表記しています。