・スマート物流事業を北米市場に本格展開
杭叉集団(Hangcha Group、中国・浙江省杭州市) :2025年7月15日
新会社では、AGV/AMRロボット、自動倉庫システム、新エネルギーフォークリフトといった統合型スマート物流ソリューションを北米市場に向けて提供していく。
■グローバル実績を背景に北米展開を加速
杭叉智能技術有限公司の任海華・総経理は、「当社はこれまで、P&G、BMW、JD.comなど世界的企業向けに7,000台以上のAGVを納入してきた」と強調。「2024年にはスマート物流関連で100億元(約2,200億円)超の契約実績を記録し、2025年には更に100億元を投じて自動化設備拠点を整備する」と述べ、北米市場への投資と技術革新への注力を表明した。さらに、「AIや5G技術、ヒューマノイド型物流ロボット、点検ロボットの開発にも積極的に取り組み、スマート物流の可能性を広げていく」とした。
■北米でのプレゼンス強化へ
杭叉国際事業総経理の張喬治(ジョージ・チャン)氏は、「米国は杭叉のグローバル戦略において中核市場」とし、2017年にノースカロライナ州シャーロットに北米本社を設立後、ヒューストンやロサンゼルスにサービス拠点を開設するなど、現地化を着実に進めてきたと説明した。R&D(研究開発)拠点も北米に設けており、「今回のHASL設立により、生産・開発・流通の全体最適を実現し、より高度なスマート物流ソリューションを北米の顧客に届けていく」とした。
同社は現在、世界で約20の海外子会社と300社超の販売代理店を擁し、海外売上比率は40%以上。海外販売台数は年10万台を超える規模となっている。
■現地ニーズに応える3本柱の戦略
HASLの李思偉・総経理は、「スマート物流の提案力、地域営業力、アフターサポート体制の3点を重点戦略に掲げる」と述べた。すでに杭叉は米国内に複数のサービスネットワークを有しており、それらを活用して導入後の支援体制を強化。今後は販売網の拡大とともに、現地ニーズに合わせたソリューション開発を進めていく考えだ。
今回のHASL設立は、杭叉が進める北米市場の本格的な現地化戦略の一環であり、製造・物流・新エネルギー分野における高度なスマート化とサステナビリティ向上を目指す大きな一歩となる。
■杭叉集団(Hangcha Group Co., Ltd.)について
1956年創業。産業車両分野で50年以上の研究開発実績を持つ中国の老舗機械メーカー。2016年に上海証券取引所に上場(証券コード:603298)。2024年にはフォークリフト販売台数28万台、売上高164.9億元(約3,600億円)を達成し、物流専門誌『MMH(Modern Materials Handling)』の売上高ランキングで世界第8位を維持(2017年以降連続)。現在180以上の国・地域に展開し、世界中で総合物流ソリューションを提供している。