Jungheinrich (ユングハインリッヒ):2025年7月15日
WAGOは今後、3交替制で稼働する射出成形ラインにおいて、SOTOによる材料供給・製品搬送を常時自動化する。これにより、従業員の肉体的負担を大幅に軽減し、付加価値の高い業務への集中を促す。
■実績ある技術のスケールアップ
SOTOは2023年に導入された実証機により、その柔軟性と高効率性が評価されていた。同ロボットは空の小型コンテナを生産ラインへ運搬し、完成品を物流エリアへ搬送。WAGOのプロセス技術エンジニアであるトーベン・エップマン氏は、「SOTOは将来を見据えた生産供給ソリューションとして有効性を証明した」と述べ、今回のフリート拡張に至った背景を説明する。
■複数コンテナ同時搬送で効率最大化
SOTO最大の特徴は、6個の小型コンテナを同時に運搬可能なこと。これにより、構内の車両交通量を削減し、供給の安定性を高める。加えて、全方向駆動(オムニディレクショナルドライブ)を備え、わずか1.65メートル幅の通路でも正確に移動可能だ。
自己位置認識には人工マーカーを必要とせず、空間の輪郭をもとに4つのレーザースキャナーと2台の3Dカメラで自律的に航行。人や障害物を360度センサーで検知し、危険があれば即座に停止する安全設計だ。メンテナンスフリーのリチウムイオンバッテリーと自動充電機能により、24時間365日連続運用が可能となっている。
■VDA 5050準拠で将来性を担保
SOTOフリートは、AGVやAMR間の標準通信規格「VDA 5050」に完全準拠。メーカーに依存しない統合管理が可能なマスター制御システムにより、柔軟な拡張性と将来的なシステム連携を実現する。
また、WAGOの物流エリアには専用の搬送機構を構築し、生産機には同社専用のラック設計を導入。これにより、生産と物流のスムーズなデカップリング(分離)を実現している。
Jungheinrichのイントラロジスティクスシステム部門プロジェクトマネージャー、ヤニク・ブリンミュール氏は「今回の導入拡大により、WAGOは内部物流の効率を一段と高め、さらなる成長の土台を築くことになる」と述べている。
新たに導入されるSOTOロボット群は、2025年内に本格稼働を開始する予定だ。
■WAGO GmbH & Co. KG
1951年創業の家族経営企業で、ばね圧式接続技術では世界トップシェアを誇る。接続機器、オートメーション機器、インターフェースエレクトロニクスなどを手がけ、世界で約9,000人の従業員を擁す(うち4,400人がドイツ国内)。2024年の売上は12億4,000万ユーロ。
■Magazino GmbH
ミュンヘン拠点の先進ロボティクス企業。自律型モバイルロボットの開発・製造を手がけ、欧州最大級のロボティクス開発チーム(約170名)を有する。2023年以降、Jungheinrich AGの完全子会社として活動中。