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都市部の建機排出ゼロへ連携強化――ロンドンで官民協議、ボルボCEら参加

 Volvo Construction Equipment(ボルボCE):2025年7月1日

 ロンドン—-都市部の大気汚染の新たな対策として、建設機械の排出削減に向けた官民連携がロンドンで本格化している。ロンドン気候行動週間(London Climate Action Week)に合わせ、スウェーデン大使館で開催されたラウンドテーブル(円卓会議)では、ボルボCE、ロンドン市関係者、研究者、市民団体などが一堂に会し、小型ディーゼル建機による都市汚染への対応策を議論。電動建機の導入促進やインフラ整備、政策支援の必要性を訴えた。

 現在ロンドンでは、自動車を上回るレベルで建設現場からのブラックカーボン(黒色炭素)排出が確認されており、都市の健康リスクの深刻な要因となっている。特に5,000台以上が稼働している小型ディーゼル油圧ショベルは、窒素酸化物(NOx)や粒子状物質(PM)を10万台超のディーゼル車と同程度排出しているとされるが、現在の超低排出ゾーン(ULEZ)の規制対象外だ。

 ロンドン市の環境・エネルギー担当副市長であるメテ・コバン氏は「クリーンな空気は社会的正義の問題。ロンドンでは2040年までにすべての建設機械をゼロエミッション化する目標を掲げ、すでに非道路移動機械(NRMM)への排出基準強化を進めている」と述べ、引き続き産業界と協力し「より健康で持続可能な都市の構築を目指す」と語った。

 また、幼い娘を大気汚染で亡くした経験を持つ活動家、ロザムンド・アドゥ=キッシ=デブラ氏は、「空気の清浄さは基本的人権であり、公衆衛生上の緊急課題だ。世界保健機関(WHO)の基準達成は最低ライン」と訴えた。

 ボルボCEの小型機事業部トップ、トーマス・ビッター氏は「電動建機はすでに実用化されており、排出ゼロかつ低振動・低騒音。だが導入は遅れている。都市の健康を守るには、業界全体の協働による変革が不可欠」と強調した。

 実際、ボルボCE、ロンドン交通局(TfL)、施工業者FMコンウェイが約12週間にわたり共同で実施した実証試験では、ディーゼル機の代わりに3台の電動建機を導入。NOxや非メタン炭化水素(NHMC)の排出を計約8kg削減し、これは走行距離6万3,000kmのディーゼル車の排出量に匹敵するという。

 このような小型ディーゼル機は、乗用車や大型建機に比べて排出フィルターの装着義務が緩いため、実際の排出量は非常に高い。欧州全体では、建機に占める小型機の割合は約3分の1だが、NOx排出の過半を占めているとの推計もある。

 英国スウェーデン商工会議所(SCC UK)のフレドリック・ワーナリードCEOは「スウェーデンの持続可能なソリューションが世界の課題解決に貢献することを誇りに思う」と述べ、ボルボCEの取り組みを称賛した。

 会議では最後に、都市部の大気改善に向けて以下の行動を関係者に呼びかけた。

•建設機械を低排出ゾーン規制に組み込むこと

•公共工事の調達基準に持続可能性の視点を反映すること

•インフラ・エネルギー供給体制の強化と制度的後押し

•国際的な知見共有と官民連携の加速

 都市における見落とされがちな建設機械の環境負荷に光を当てることで、空気の質と都市生活の質の両面で持続可能な未来が近づくとして、議論は締めくくられた。

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