神戸製鋼所は6月27日、インドの機械事業拠点であるKobelco Industrial Machinery India(KIMI)の工場拡張投資を発表した。総投資予定額は約30億円で、2027年度の拡張部完工を目指す。急成長するインド市場でのタイヤ・ゴム機械需要に対応するとともに、新たに非汎用圧縮機の生産拠点としても活用する計画。
■インド市場での事業拡大を加速
近年、インド市場では自動車生産の増加に伴いタイヤ・ゴム機械の需要が拡大しており、今回の投資により生産能力の大幅な強化を図る。タイヤ・ゴム機械には、原材料のゴムやカーボンなどを混練するゴム混練機(ミキサー)と、混練されたゴムをシート状に加工するゴム押出機が含まれる。
■非汎用圧縮機の新拠点として機能拡大
工場拡張に併せて、KIMIには非汎用圧縮機の生産設備も新設される。発電や化学プラントなど幅広い用途で使用される非汎用圧縮機は、現在日本、米国、中国、韓国に生産拠点を持つが、インドでの生産開始により拠点の多様化を図る。
これにより、将来的なエネルギー転換に関連する市場拡大への対応、コスト競争力の強化、中近東・アフリカ市場への進出、そしてカントリーリスクの低減を同時に実現する狙いがある。
■設計・開発機能も強化
神戸製鋼は今回の拡張投資に先立ち、2025年1月にKIMIチェンナイ支店としてKobelco Machinery Global Capability Center, Chennai(KMGC, Chennai)を開設した。同センターではタイヤ・ゴム機械や非汎用圧縮機を中心とした設計・開発業務を担っており、生産拠点の拡張と合わせて包括的な事業基盤の構築を進めている。
■中期経営計画「KOBELCO-X」の一環
今回の投資は、神戸製鋼グループが推進する変革プログラム「KOBELCO-X」の取り組みの一つとして位置づけられる。現中期経営計画(2024~2026年度)では「魅力ある企業への変革」を目標に掲げており、機械事業の「稼ぐ力の強化」と「成長追求」を両立する「両利きの経営」の実践例となっている。
神戸製鋼は今回の拡張により、インドを拠点としたグローバル市場でのプレゼンス向上と事業拡大を図り、「安全・安心で豊かな暮らしの中で、今と未来の人々が夢や希望を叶えられる世界」の実現を目指すとしている。