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IHIとGEベルノバ、アンモニア燃焼ガスタービンの実用化へ、相生工場に大型試験設備が完成

 IHIと米GEベルノバ(GE Vernova)は6月23日、アンモニアを燃料とする次世代ガスタービンの実用化に向けた共同開発の一環として、兵庫県相生市のIHI相生工場に新たな大型燃焼試験設備を完成させたと発表した。2025年夏からの燃焼試験開始を予定しており、脱炭素社会の実現に貢献する革新的な発電技術の開発を加速する。

 両社は2024年に共同開発契約を締結し、GEベルノバが展開するF型ガスタービンの燃料を、二酸化炭素(CO₂)を排出しない100%アンモニアに転換する新型燃焼器の2030年までの実用化を目指している。今回完成した試験設備(LCT=Large-scale Combustion Test facility)は、GEベルノバのタービンが稼働する運転条件に対応した設計で、燃焼圧力や温度、空気・燃料流量などのデータ取得が可能。実機規模の燃焼試験により、実用レベルでの信頼性や性能の検証が可能となる。

 IHIの執行役員でアンモニアバリューチェーンプロジェクト部長を務める山本建介氏は「今回の完工は、開発の大きな前進。GEベルノバとの協業の中核となる試験拠点として、2030年の実用化に向けた鍵を握る」と意欲を示す。IHIは既に出力2MW級のアンモニア専焼ガスタービン「IM270」を開発しており、この技術のスケールアップと商用化を視野に入れる。

 また、GEベルノバでテクノロジーストラテジーを統括するジェフリー・ゴールドミア氏は、「アンモニアを用いた脱炭素技術は、既存の発電設備を活かしながらCO₂排出を削減する道を切り開くもの。IHIとの協業は、技術実証フェーズへと進化している」と語った。

 試験にはIHIの燃焼技術と、GEベルノバの米グリーンビル拠点で蓄積した先端燃焼技術が活用される。燃焼時にCO₂を排出しないアンモニアは、脱炭素燃料として国際的に注目を集めており、本プロジェクトは、発電分野におけるエネルギートランジションを先導する動きとして期待される。

 ニュースリリース

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