・再生可能エネルギーを活用したe-メタン生産、世界有数の規模を計画
本契約は、商業プラント化に先立つ技術的・経済的な検証や設計業務を行うもので、事業期間は約1年間。将来的には、e-メタン(合成メタン)の年間生産量11万トン(18,000N㎥/h)という、世界有数の大規模商業メタネーションプラントの建設を目指す。
オマーンは、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの適地とされており、国家ビジョン「Oman Vision 2040」や「国家グリーン水素戦略」では、グリーン水素を活用した持続可能なエネルギー政策が掲げられている。さらに、CO₂を回収・再利用するCCU(Carbon Capture and Utilization)にも注力しており、カナデビアが持つメタネーション技術が、この脱炭素方針と合致する。
契約に基づき、まず商業プラント建設に向けたコンセプトスタディでは、水素・CO₂・e-メタンの製造・処理に関する各種技術や経済性を検討し、構成機器の評価を通じてプラント構想を具体化する。また、プレFEEDでは、e-メタンを年産7,400トン(1,200N㎥/h)生産するパイロットプラントについて、概念設計、設備構成、建設コストの概算、ライフサイクルコスト評価などを行う。
パイロットプラントは、カナデビアが強みを持つ海水淡水化装置、水電解装置、メタネーション装置などから構成される。これにより、海水から真水を作り、水素を製造し、CO₂と反応させてe-メタンを合成する一貫プロセスの実証が行われる予定。
カナデビアは1970年代から中東で海水淡水化プラントを多数建設してきた実績があり、現在はオーストラリアの子会社Osmoflo Holdingsや、スイスのKanadevia Inova AGを通じ、ごみ焼却発電など中東地域での環境インフラにも注力している。今回の契約では、こうしたグループの技術・実績が高く評価された。
日本とオマーン両政府は2022年12月、「カーボンリサイクルに関する協力覚書」を締結。これに基づき、2024年3月にはカナデビアとOLNGが「メタネーションの事業化に向けた覚書」を交わしており、今回の契約はその実現に向けた具体的な第一歩となる。
カナデビアは、「2050年ネットゼロ」実現に貢献すべく、本プロジェクトを通じたメタネーションの社会実装を目指すとしている。
<本件概要>
契約先:Oman LNG LLC(オマーン)
内容:商業メタネーションプラントに関するConcept Studyおよびe-メタン生産量1,200N㎥/hのパイロットプラント建設に関するPre-FEED
期間:約1年間