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日立レール、伊ブレシア市の新トラム建設を受注、総額542億円プロジェクトに参画

 日立製作所は6月19日、同社の鉄道システム事業を担う日立レールが、イタリア北部のブレシア市における新トラム路線「T2線」の建設事業を受注したと発表した。プロジェクト全体の契約総額は3億2,600万ユーロ(約542億円)にのぼり、日立レールはこのうち約7,700万ユーロ(約128億円)を受注。18編成の次世代型トラム車両や通信・信号機器を納入する。

 この事業は、イタリアの建設大手マネリ・インプレサ社を代表企業とするコンソーシアム(TGC)によって推進されるもので、仏アルストム社もパートナーとして参画。発注元はブレシア市の公共交通インフラ会社ブレシア・モビリタで、市内のフィエーラ駅からペンドリーナ駅までを結ぶ全長11.3キロの複線路線を新設する。市内人口の密集地域を通過し、イタリア国鉄の主要駅とも接続する。

 日立レールが納入する新型トラムは、同社のイタリア・レッジョ・カラブリア工場で製造され、安全性・快適性・環境適合性・革新性の4要素(S.C.A.I.)を重視した設計となっている。車両には障害物検知機能を備えた先進運転支援システム(ADAS)を搭載し、最大216人が乗車可能。そのうち52席を確保し、快適な乗車空間を提供する。

 また、車両は98%がリサイクル可能な素材で構成され、エネルギー消費を自動調整する空調システムや回生ブレーキを利用したエコドライブアルゴリズムにより、消費電力を15〜20%削減できるという。運行ルートの72%が専用軌道上に設けられ、約3.1kmの区間では架線を設けずにバッテリー駆動で走行するなど、景観や環境にも配慮している。

 一方、アルストム社は軌道や電化、信号などのシステム設計と建設を担当し、契約額は約8,800万ユーロ(約146億円)。同社が開発した架線の自動張力調整装置「Spiroll™」も導入される。建設を担うマネリ・インプレサ社の契約額は約1億6,100万ユーロ(約268億円)に上る。

 同社のセルジオ・オノフリオ・マネリCEOは「この事業は都市空間の質を高めるとともに、自動車依存の低減や経済活性化にも寄与する」とコメント。日立レールグループCOO兼日立レールイタリアCEOのルカ・ダキーラ氏は「本プロジェクトは、安全で持続可能な公共交通を実現する我々の戦略に合致している」と述べた。

 プロジェクトは都市部の複雑な交通・環境課題に対応する戦略的インフラと位置づけられ、ブレシア市の都市モビリティ高度化と脱炭素化に貢献する見通し。

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