三菱ケミカルは6月16日、中国江蘇省南通市にあるアクリル樹脂成形材料（PMMA）などの製造・販売子会社「三菱化学高分子材料（南通）有限公司」を、同市内で移転すると発表した。移転先は同市の南通経済技術開発区化工園区南区で、2026年第1四半期に建設を開始し、2028年第3四半期の稼働開始を目指す。
移転の背景には、中国で2021年に施行された「長江保護法」やそれに基づく地元当局の方針がある。現在、同社の工場がある開発区北区に対して化学企業の移転要請が出されており、これに応じるかたちでの決定となった。
三菱ケミカルは2001年から南通市にPMMAの製造・販売拠点を構えており、今回の移転でも現地での事業継続を図る。新工場には、年間6万トンのPMMA生産設備に加え、研究開発機能も併設する計画。中国は世界のPMMA需要の約4割を占める最大市場であり、同社にとって戦略的に極めて重要な地域と位置付けている。
同社は、2024年11月に公表した「新中期経営計画2029」で、中国PMMA市場での成長を重点課題に掲げており、今回の移転もその一環。今後もグローバルでの最適地生産体制の構築と、安定供給・販売体制の強化を進め、PMMA事業の収益性向上を目指すとしている。
＜新工場の概要＞
所在地：江蘇省南通市南通経済技術開発区化工園区南区
移転設備：PMMA（公称能力：60,000トン）、研究開発設備など
建設開始：2026年１Q（予定）
稼働開始：2028年３Q（予定）