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日工、新中期経営計画を発表 27年度に売上600億円・営業益率8%超へ

・部門別に明確な成長戦略、アスファルトプラント・環境製品の事業変革を加速

 日工は6月17日、新たな中期経営計画(2025〜2027年度)を発表した。基本方針に「収益力の向上」を掲げ、2027年度に売上高600億円、営業利益率8%以上、ROE8%、時価総額400億円(株価1,000円)を目指す。

 前中計(2022~2024年度)では最高益を更新したものの、売上・利益ともに目標には若干届かず。これを踏まえ、今中計では各事業部門における明確な課題認識と具体的な成長シナリオを提示し、脱炭素対応やグローバル展開も一段と強化する構えだ。

■部門別の重点施策と数値目標

・アスファルトプラント(AP)事業
 国内の更新需要と海外展開を両軸に、営業利益率を10.2%(24年度5.0%)まで引き上げる。省エネ補助金を活用した設備更新や、ASEAN市場向け製品(ACEシリーズ)の拡販を強化。売上高は24年度の194億円から27年度に230億円へ、営業利益は9.7億円から23.5億円へ倍増以上を見込む。

・バッチャープラント(BP)事業
 高水準の生コン価格を背景に、設備投資需要が継続。差別化技術によるシェア拡大と運用支援サービスの拡充で、27年度までに売上153億円、営業利益20億円、営業利益率13.1%を維持する計画だ。

・環境・搬送関連事業
 IR案件などの大型案件に対応し、収益性重視の運営体制を継続。AI選別機などの高付加価値製品の導入も進め、営業利益率は20%台を維持。27年度売上35億円、営業利益8億円を見込む。

・破砕機関連事業
 製品ラインナップの拡充やウクライナ復興需要の取り込み、メンテナンスビジネスの拡大を通じて、赤字体質からの脱却を果たす。27年度には売上43億円(24年度比約2倍)、営業利益3億円を計画する。

・製造請負関連事業
 M&Aで傘下に収めた宇部興機・松田機工とのシナジーにより、安定成長と2桁の営業利益率(11.9%)を維持。27年度売上42億円、営業利益5億円と堅調な拡大を描く。

・その他事業(防水板・水門、仮設機材など)
 自然災害や国土強靭化政策を背景に需要が拡大。販路の拡大や新製品の開発も進み、27年度には売上97億円(24年度51億円)、営業利益16.5億円(同7.2億円)を目指す。

■2030年ビジョンへ布石
 同社は2030年に「売上700億円・営業利益率10%・時価総額500億円(株価1,250円)」という長期目標を掲げる。今回の中計はその「力強いビジネス拡大フェーズ」と位置づけられ、人材育成やM&Aも並行して進める。

 CO₂排出量削減への対応や、AI・DXによる新たな付加価値創出にも注力。国内市場の成熟化に対し、ASEAN展開や環境ビジネスの横展開によって持続的な成長を図る。

■株主還元・財務戦略も強化
 配当性向60%以上を継続し、2027年度の年間配当は50円を計画。ROE8%と資本効率の改善を図るほか、自社株買いも視野に入れる。キャッシュイン約160億円に対し、設備投資60億円、M&Aに50億円を充てる計画で、財務の健全性と成長投資の両立を図る構えだ。

■今後の注目点
 日工は「脱炭素」「省人化」「環境対応」という社会課題とリンクする強みを持つが、競合との技術競争や海外市場での地盤固めが課題となる。計画通りの収益性向上を果たせるかが、2030年ビジョン実現への鍵となる。

 詳細は、日工の中期経営計画

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