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日立、次世代エレベーター技術開発を加速する新施設建設へ

・水戸事業所にG1TOWERに隣接した研究開発拠点を新設

 日立製作所日立ビルシステムは6月9日、次世代エレベーター技術の開発を加速するため、茨城県ひたちなか市の水戸事業所内に新たな研究開発施設を建設すると発表した。2025年7月に着工し、2027年2月の完成を予定している。

■日本最高の研究塔G1TOWERと連携
 新開発施設は、同事業所内にある地上高213mの日本一高いエレベーター研究塔「G1TOWER(ジーワンタワー)」に隣接した場所に建設される。G1TOWERは2010年4月の竣工時点では世界最高の高さを誇っていた施設で、エレベーターの高速化や安全性向上に関する様々な実証実験が行われている。

 新施設では、日本国内のエレベーター新設需要の約8割を占める標準型エレベーターの次世代機種開発に注力する。また、建物の老朽化に伴って需要が拡大している既設エレベーターのリニューアル製品の開発も推進する予定。

 (画像は完成予想)

■開発機能の集約で効率化を図る
 これまで日立は、水戸事業所のG1TOWERを中心とする研究開発施設と、東京都足立区の亀有総合センターの2拠点で昇降機の開発を進めてきた。新施設の建設により、エレベーターとエスカレーターの新設・リニューアル製品の開発機能を水戸事業所に集約し、開発スピードの向上を目指す。
 一方、亀有総合センターは今後、昇降機をはじめとするビル設備のメンテナンス業務や、IoT技術を活用したデジタルサービス「BuilMirai(ビルミライ)」の開発拠点としての役割に特化する方針。

■安全性と災害対応力の向上に重点
 新開発施設では、安全性の向上と災害対応能力の強化に特に力を入れる。近年、自然災害の頻発や建物の高層化に伴い、エレベーターに求められる安全基準はますます厳しくなっている。新施設では、これらの社会的要請に応える次世代技術の開発を加速させる。

■デジタル技術との融合で新たな価値創出
 日立は、IT技術とOT(制御・運用技術)、そして高品質なプロダクトという3つの強みを組み合わせたソリューション提供を通じて、持続可能な社会の実現を目指している。新開発施設でも、ビル設備のスマートモニタリングやデータ分析技術を活用し、利用者の安全・安心・快適性の向上を図る製品開発を進める。

 この新施設の建設により、日立は国内エレベーター市場における技術的優位性をさらに強化し、グローバル市場での競争力向上を目指す。また、フロントラインワーカーが活躍できる社会づくりにも貢献していく方針を示している。

<新開発施設の概要>
建設地:茨城県ひたちなか市市毛1070番地(水戸事業所敷地内)敷地面積:591㎡
構造:地上高49.5m、地下4階建
建設工事完了:2026年8
本格運用開始:2027年2月

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