・土木研究所の自動施工基盤「OPERA」の有効性を確認
清水建設は6月5日、国立研究開発法人土木研究所、日立建機と共同で、油圧ショベルによる土砂の掘削からダンプカーへの積載までの一連の作業を自動化する施工実験を実施し、成功したと発表した。今回の実験では、土木研究所が整備を進めている自動施工技術基盤「OPERA(Open Platform for Earthwork with Robotics and Autonomy)」の有効性が確認された。
従来の建設機械の自動施工に関する研究開発は、建設会社と機械メーカーが個別に秘密保持契約を締結し、専用の制御プログラムを開発する形が主流であった。このため、組み合わせが変わるたびにカスタマイズが必要となり、開発効率が課題とされていた。OPERAを用いることで、異なるメーカーの建機を統合制御できるため、自動施工の実用化が加速すると見られる。
今回の実験では、シールドトンネル工事で発生した土砂をダンプカーで場外に搬出する作業をユースケースとした。仮置きした土砂を油圧ショベルで掘削し、指定位置に停止したダンプに積載する一連の作業を自動化。複数の3D-LiDARを現場に設置し、周辺地形の3D形状データをリアルタイムで取得。得られた地形情報をもとに、掘削と積載の指令を自動で出力するシステムを構築した。
掘削時には、油圧ショベルが土砂の形状に応じて効率的にバケットに取り込み、積載時には荷台の空きスペースを認識して適切に積み分ける動作を実現。作業は繰り返し行われ、荷台が満杯になると自動で積載を終了する。
実験では、掘削から積載までの作業がシームレスに自動化されることを確認。なお、重機への指令には、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の一環として九州大学が開発中のオープンソース「ROS2-TMS for Construction」が用いられた。
清水建設は今後、OPERAを活用した建機制御技術の現場適用を進めるとともに、無人による自動施工技術の社会実装に向けた開発を推進する方針。