kikai-news.net

鉱研工業、2025年3月期決算で増収増益達成――来期も成長見込む

 鉱研工業が5月12日に発表した2025年3月期の連結業績によると、売上高は106億1,100万円(前期比11.4%増)、営業利益は6億5,300万円(同16.8%増)、経常利益は5億8,100万円(同21.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億5,600万円(同52.3%増)となり、大幅な増収増益を記録した。

 2024年度の日本経済は、物価高の影響を受けつつも、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要に支えられ堅調に推移した。一方で、海外経済の下振れや地政学的リスクなど、不透明な要素も存在した。このような状況下、同社グループは中期経営計画「STEP UP鉱研ACTIONS 2025」に基づき、持続的な売上拡大と収益確保に注力した。
 結果として、受注高はボーリング機器関連の国内外での堅調な推移により前期を上回り、連結受注高は前期比8.4%増の106億2,800万円を記録した。売上高もボーリング機器関連、工事施工関連ともに堅調に推移し、連結売上高は前期比11.4%増の106億1,100万円となった。利益面では、原価率の向上により、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも前期を大きく上回る結果となった。

 鉱研工業2025年3月期データ

■セグメント別業績
<ボーリング機器関連事業>
 受注高は、主力製品のロータリーパーカッションドリルに加え、中国市場向け製品や個社オーダーの自動掘削機、水中ポンプの受注が伸長し、前期比14.1%増の76億3,500万円となった。売上高も、個社オーダーの自動掘削機や水中ポンプの売上が伸長し、前期比5.6%増の68億5,500万円を達成した。一方で、仕入れ部品調達価格の高騰を製品価格に十分に転嫁できなかったため原価率が悪化し、セグメント利益は前期比24.0%減の2億7,800万円に減少した。

<工事施工関連事業>
 受注高は、温泉工事やアンカー等工事の受注は堅調に推移したものの、トンネル工事の減少や海外ODA工事の前年受注分の剥落により、前期比3.8%減の29億9,300万円となった。売上高は、各種工事が概ね計画通りに進捗し、温泉工事、アンカー等工事、海外ODA工事の施工増加により、前期比23.6%増の37億5,500万円と大幅に増加した。利益面では、工事単価の引き上げによる原価率の改善と売上の増加により、セグメント利益は前期比99.6%増の3億8,000万円と大幅な増益を達成した。

■次期の見通し
 2026年3月期も、海外経済の下振れや地政学的リスクなど不透明な要素は残るものの、国内市場においては都市再開発、防災・減災・国土強靭化対策、インフラ老朽化対策、リニア中央新幹線建設などの社会資本整備が継続し、建設投資は底堅く推移すると見込んでいる。
 同社グループは、次期に向けて以下の戦略を推進する方針である。
・ボーリング機器関連:主要機械の計画生産を通じて安定供給と業績確保を目指し、「鉱研スピリット3S(SAFETY「安全・安心」、SAVE「省力化」、SATISFACTION「顧客満足」)」製品の市場投入を加速させる。また、子会社である株式会社クリステンセン・マイカイでは、再生可能エネルギー分野での拡大が期待される地熱井の傾斜堀サービス等に注力し、グループ経営のさらなる進化を図る。
・工事施工関連:建設業界の時間外労働上限規制への対応、施工要員の確保と育成、DX推進による生産性向上が喫緊の課題と認識し、社員の意識改革と魅力ある職場づくりを進め、独自の技術伝承と新工法の開発に注力する。今期は一部工程遅延があった海外ODA工事も概ね順調に推移し、今後もリニア中央新幹線、整備新幹線工事、高速道路整備工事、トンネル先進調査工事、大型アンカー工事などが継続すると見込んでいる。さらに、新たにグループ会社となった株式会社Kアドバンスとともに、コントロールボーリング工事、温泉開発、地下水関連工事などの受注獲得に注力し、売上増加を目指す。

 これらの取り組みの結果、2026年3月期の連結業績予想は、売上高115億円(前期比8.4%増)、営業利益9億円(同37.7%増)、経常利益8億円(同37.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5億6,000万円(同22.7%増)と、さらなる成長を見込んでいる。
 株主還元については、当連結会計年度の1株当たり配当を15円とし、次期は連結配当性向30%程度を目標に安定的かつ継続的な配当を行う方針を示している。

 鉱研工業の2025年3月期決算短信

モバイルバージョンを終了