三一(SANY ):2025年5月23日
中国大手建機メーカーの三一重工(SANY Heavy Industry、以下、三一)は23日、2024年の環境・社会・ガバナンス(ESG)報告書を公表した。同報告書では、クリーンエネルギー開発、グリーン製造、社会的責任の分野における同社の画期的な成果が明らかにされた。
三一は2024年、環境保護に5億2,000万元(約104億円、1元20円換算)を投資。グリーンイノベーションを原動力とした業界の高品質な発展に全面的に取り組んでいる。
■クリーンエネルギー製品とグリーン製造の推進 2024年、三一は多岐にわたる省エネ・消費削減プロジェクトを実施した。全工程でのカーボン削減や排出削減の取り組みが顕著である。
•エネルギーコストは累計で3億2,000万元(約64億円)を削減。
•21の子会社に太陽光発電設備を導入し、クリーンエネルギー使用量は7,607万2,000kWhに達し、総エネルギー使用量の13.8%を占めた。
•揮発性有機化合物(VOC)排出密度は2024年に1,000万元あたり14.47トンとなり、2021年比で17.9%減少。
•排水処理プロセスの最適化とオンライン監視により、化学的酸素要求量(COD)排出強度は1,000万元あたり0.34トンに低減し、2021年比で84.5%減となった。
今後もクリーン技術の研究開発や生産設備の高度化を進め、より効率的なエネルギー利用ソリューションの実現を目指す方針。
■健康・安全を重視し、従業員育成と社会貢献に注力
三一は全従業員の平等な支援に取り組んでいる。2024年には海外従業員の89%が現地採用、女性管理職は12%を占めた。5億5,000万元(約110億円)規模の従業員持株制度を導入し、6,241人が恩恵を受けた。年間で485回の研修を実施し、従業員の93%が参加した。
また、特別設備の安全や防火に関する研修も実施し、健康・安全関連の研修参加者は累計17万6,441人にのぼった。年間の労働災害発生率は1,000人あたり1.78件、職業病による負傷者はゼロだった。
■社会貢献活動も積極的に展開。
2024年は約1,816万元(約3.6億円)を社会公益基金に寄付し、累計投資額は3億4,000万元(約62億円)を超えた。教育や災害救援、農村振興など143件の公益活動を行った。
■デジタル技術でESG戦略を強化
2024年、三一は取締役会レベルでESGガバナンス体制を最適化。株主総会4回、取締役会7回を開催し、出席率は100%を達成した。
また、インテリジェントな監督・審査プラットフォームを構築し、4,568件の早期警報データを発信、3,754件の検証を実施するなど、全工程でのデジタル・インテリジェント管理を実現した。
向董事長は「2024年はグローバル展開を加速し、デジタル技術を活用したインテリジェント製造や新エネルギー機器、低炭素製品の開発に注力した。今後もグリーンかつインテリジェントな新たな生産力をリードし、中国の『カーボンニュートラル・カーボンピーク』目標や世界的な気候変動対策に貢献していく」と述べた。