■事業別・地域別の概況
①金属加工機械事業
<板金部門の地域別>
日本:遅延していた受注残の消化が進む中、補助金や展示会効果を受けて巻き返しを図ったが、年明け以降は関税措置への懸念から投資意欲の回復が限定的にとどまった。業種別では、厨房・調理装置、エレベーター、半導体製造装置、トラック・バス・特殊車両向けが堅調に推移した一方、工作機械や農業用機械は引き続き軟調だった。その結果、売上収益は102,219百万円(前期比3.0%減)となった。
北米:カナダではエネルギー関連を中心に引き続き堅調に推移したほか、米国ではデータセンター関連の需要が底支えとなった。業種別では、データセンター関連のスイッチギアや配電盤、ラック、エアフロー、冷却システムなどが好調に推移した。その結果、売上収益は89,749百万円(前期比0.4%増)となった。
欧州:ドイツや東欧においては、自動車関連や建設業の需要低迷が続き、依然として厳しい環境にある。一方で、イタリア、スペイン、北欧などでは、データセンター関連などの需要が堅調に推移し、これまでに積み上がっていた受注残の消化が進んだことにより、売上収益は前期比で増加した。その結果、売上収益は69,674百万円(前期比1.2%増)となった。
アジア他:インドではインフラ、航空宇宙関連などを中心に好調に推移した。一方で、韓国では政治的にも混乱が生じ、依然として厳しい状況が続いている。ASEANでは、ベトナムでの配電盤、マレーシアの半導体・電子関連が下期の回復をけん引したものの、アジア全体としては上期の影響が残り、売上収益は36,598百万円(前期比0.6%減)となった。
<微細溶接部門>
②金属工作機械事業
売上収益は652億13百万円(3.5%減)、営業利益は68億99百万円(6.2%減)となった。
<切削・研削盤部門>
国内では、自動車関連や建設業の停滞により、主要取引先の鋼材卸売業者からの需要が減少したが、前期からの受注残や自動化対応の大型案件に支えられ、売上収益は前年を上回った。海外では、研削盤は半導体や航空宇宙向けに堅調だったものの、切削分野では鋼材販売業や自動車関連の低迷により設備投資が抑制され、売上収益は前年を下回った。
<プレス部門>
国内では自動車産業の低迷が続く中、建築関連が売上収益に寄与したものの、中小企業を中心に設備投資に慎重な姿勢が続いている。海外では、中国において自動車関連及び通信機器関連が堅調に推移している一方、北米及びASEANでは自動車関連の低迷が続き、総じて厳しい環境が続いている。
■今後の見通し
今後の世界経済は、米国の政策動向や地政学リスクの高まりにより不確実性が増す中で、企業の設備投資マインドやサプライチェーンに影響を及ぼす可能性があり、各国の景気動向を引き続き注視していく。米国では、関税引上げによる物価上昇圧力や金利高止まりの影響から、経済成長の鈍化が見込まれるほか、欧州や中国においても、米国との貿易摩擦の深刻化が懸念される中、輸出が低迷し、景気回復の遅れが懸念される。さらに中国では、不動産市場の低迷も重なり、景気の減速が続くと予想される。
こうした経済環境下において、アマダグループが属する製造業界では、省エネルギー・省人化対応をはじめとする設備投資需要は底堅く推移する一方、部材価格の変動や為替の影響、さらには政策の不透明感などを背景とした投資判断の慎重化も想定され、先行きには依然として不確実な要素が残ると考えている。
このような状況のもと、アマダグループの次期業績については、引き続き高い水準にある受注残高や新商品の市場投入に加え、国内外の製造業における生産性向上ニーズを確実に捉えること、また、2025年5月1日に連結子会社化したエイチアンドエフが2025年5月1日より業績に寄与することで、現時点では以下のとおり、売上収益、営業利益、親会社の所有者に帰属する当期利益について、引き続き高水準の維持を目指す。
2026年3月期の連結業績見通しは、売上収益4,050億円(2.1%増)、営業利益450億円(8.3%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益310億円(4.3%減)。
なお、2026年3月期の連結業績予想について、2025年7月に連結子会社化を予定しているビアメカニクスの業績は、クロージング前につき含めていない。また、「中期経営計画2025」については、上記のとおり、エイチアンドエフおよびビアメカニクスの業績が連結業績に反映されることを踏まえ、合理的に算定可能となった段階で速やかに開示するとしている。
為替レートは、1米ドル=140円、1ユーロ=160円を前提としている。