2024年度における酒井重工業グループを取り囲む事業環境は、世界経済が調整局面に入る中、物価上昇と金利高止まりが続くとともに、世界的選挙イヤーによる政策停治、ウクライナ戦争とイスラエル戦争の混迷、米中対立に伴う保護貿易拡大など先行きの不確実性が高まり、建設機械市場も減速基調のまま推移した。このような情勢の下で酒井重工業 グループでは、価格改定と高付加価値化による収益構造改革、人的資本投資による届用境向上と現場技能者増強、生産調整強化による在庫適正化により、収益構造と人的組織能力と財務体質の強化を進めた。
■連結地域区分別売上高
海外向け売上高は、世界的に建設機械市場の調整局面が続き、前年同期比15.2%減の158億5千万円となった。北米向け売上高は、インフラ投資法を背景とした道路建設投資が続いたものの、金利の高止まりが続く中でディーラ段階の在庫調整が強まり、前年同期21.9%減の75億7千万円となった。アジア向け売上高は、選挙イヤーでASEAN市場全般の要が停番していたが、タイとマレーシアで底入れの兆しが見られ、前年同期比7.2%減の70億2千万円となった。その他市場向け売上高は、主要市場が停滞する中、ODAによる道路維持補修機械案件が増加し、前年同期比12.2%減の12億5千万円となった。
酒井重工業2025年3月期データ
■所在地別セグメント
日本:日本では、レンタル業界の在庫調整により国内販売が振るわず、総売上高は前年同期比15.2%減の198億4千万円。営業利益は、在庫適正化に向けた生産調整を当第4四半期会計期間に断行しました結果、2億8千万円相当の原価差損が発生し、前年同期比83.1%減の1億6千万円となった。
海外:米国では、ディーラの在庫調整により販売が減少し、総売上高は前年同期比21.9%減の75億8千万円。営業利益は、売上高の減少に伴い、前年同期比28.9%減の8億2千万円となった。インドネシアでは、国内販売及び第三国向け輸出の双方が減少し、総売上高は前年同期比10.7%減の61億4千万円。営業利益は前年同期比44.6%減の5億5千万円となった。中国では、国内販売並びにグループ企業向け製品・部品輸出が伸び悩み、総売上高は前年同期比27.4%減の14億3千万円。営業利益は前年同期比65.1%減の7千万円となった。
■今後の見通し
今後世界の建設機市場は、短期的にはコロナ後の要拡大期からの調整局面がしばらく続くものの、中期的には日米の大型インフラ投資計画や新諸国におけるインフラ投資と鉱山開発の活発化、更には老化インフラの更新番要や災害対策など、建設機械の底堅い潜在要が期待されますので、景気循環を経て底入れするものと予想している。一方足元では、第二トランプ政権の誕生と世界の政治的バワーバランスの変化に伴い、これまでの自由貿易や安全保体制の枠組みが大きく変化しつつあり、世界情勢の先行きは予断を許さない。
このような情勢の下で酒井重工業グループでは、米国向け税対策とサプライチェーンの修正を急ぐとともに、収益構造と人的組織能力の強化、市場環境変化に伴う競争戦略の再強化、ものづくり品質の底上げなど、この需要調整期間に経営の基礎基盤を固め直すことにより、市場回復期に向けた企業体質づくりを進めていく。また引き続き中長期成長戦略として、アジア市場深耕と北米市場展開、海外事業領域拡大、新技術活用による次世代事業開発、要変化対応力強化を進めるとともに、積極的にESGを推進し、中長期的な事業成長と企業価値向上を目指す。
2026年3月期(2025年度)の連結業績は、売上高300億円(前期比7.7%増)、営業利益12億5千万円(21.1%減)、経常利益12億5千万円(16.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益9億円(37.3%減)を予想している。
酒井重工業の2025年3月期決算短信
決算説明資料