なお、のれん等償却の影響を除くと、営業利益は310億8千1百万円(同41.2%減少)、営業利益率は4.7%(同2.9ポイント減)となった。
このような中、フォークリフトを始めとする物流機器市場は、国内においては、引き続き安定的・堅調に推移している。一方、海外においては、米州では代理店在庫の調整局面が想定よりも長引き、卸売需要も弱含みに推移していたが、その局面も徐々に解消しつつある。欧州は緩やかではあるものの回復基調にあり、アジアも在庫調整局面からか一時伸長が鈍化しながらも堅調に推移、中国においては景気減速にあっても物流機器需要は堅調。ただし、需要堅調な物流機器市場も、電気車化が進む中でリチウムイオンバッテリー車を始めとした中国製品の台頭により、特に欧州・アジアにおける競争は一層厳しいものとなっており、加えて米国の関税政策が投資意欲を減退させ、堅調だった物流機器需要に影響を及ぼすことも危惧されている。
同社においては、課題であったリードタイムを正常化させ、価格適正化による収益性の改善を進めながら、安心・安全、自動化・自律化、脱炭素といった物流機器市場のニーズの高まりにも応えている。そのような中、最重要市場といえる米国においては、エンジン認証課題への対応として新型エンジン搭載車への置き替えを完了し引き続き挽回に努めている。しかしながら、米国新政権下での関税を始めとした政策次第ではグローバルでのコストアップも懸念され、同社事業における今後の見通しを困難なものにしている。
■セグメントごとの経営成績
〔国内事業〕
国内事業は、受注が堅調に推移する中、価格適正化の効果もあって、売上高は1,961億8千6百万円(前年同期比3.0%増加)となった。セグメント利益は、輸出における円安影響に加え、堅調な国内販売における価格適正化の効果の寄与もあり、56億6千2百万円(同11.9%増加)となった。
なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は103億1千5百万円(同4.2%増加)となった。
〔海外事業〕
海外事業は、為替の円安影響はあったものの、北米での一時出荷停止の影響に加え、地域によっては代理店の在庫調整の長期化もあり、売上高は4,694億8百万円(前年同期比8.2%減少)となった。セグメント利益は、欧米での売上減少の影響が大きく、151億4百万円(同59.8%減少)となった。
特に海外事業の前年同期は、部品欠品が解消されていく中で生産を拡大、出荷を促進し、加えて価格適正化の寄与もあり、売上高並びにセグメント利益を大きく伸長させた。それに反して当期は、北米でのエンジン認証遅延に伴い旧型エンジンの換装などに追加工数を要して生産効率の悪化を招き、また、エンジン認証遅延に起因する新型エンジンへの切り替えに伴う生産部品及び製品の廃却損失、評価損の計上などの一時費用の発生もあった。さらに、代理店の在庫調整の影響もあったため、売上高、セグメント利益ともに減少している。
なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は207億6千6百万円(同51.7%減少)となった。
■今後の見通し
世界経済が緩やかながら安定して成長する中で、フォークリフトを始めとする物流機器市場は、国内においては引き続き堅調に推移し、海外においても堅調あるいは地域によっては回復してきていたが、米国の関税を初めとした政策次第ではグローバルでのコストアップが懸念され、世界経済への影響も含め、同社事業の今後の見通しを困難なものにしている。
このような状況の中、米国事業においては、関税政策による生産コストの悪化を製品価格に転嫁可能であることを前提とし、販売台数については10%の需要下振れ影響を想定のもと、2025年度(2026年3月期)の連結業績については、売上高6,750億円(前年度比1.4%増)、営業利益330億円(同58.9%増)、経常利益270億円(同81.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益170億円(同96.2%増)を見込んでいる。想定為替レートは、145円/米ドル、155円/ユーロとした。
なお、2025年度末における自己資本比率は25%以上、資本コストを意識した経営の実現に向け中期経営計画「Logisnext Transform 2026」で新たに目標として設定した自己資本利益率は10%以上を見込んでいる。