オークマ2025年3月期通期データ
2024におけるオークマグループの経営環境は、地政学的リスクやインフレの継続等、世界経済の先行きが不透明な状況が続いた。工作機械の需要は大手企業向けでは底堅く推移したが、中堅・中小事業者においては設備投資の様子見が続き、国内外とも需要は総じて緩やかな回復基調で推移した。
こうした中、オークマグループは「中期経営計画2025」に基づき、高精度・高効率生産とエネルギー消費量削減を自律的に両立し、脱炭素化に貢献するオークマグループの工作機械を「Green-Smart Machine」と位置付け、自動化やものづくりDXソリューションと共にグローバルに展開した。また、受注獲得に注力すると共に収益力改善、資本効率向上を図り、ものづくりを巡る社会課題の解決を通じて企業価値向上に努めた。
米国では、中堅・中小事業者においては金融緩和の時期や規模、新政権の経済政策の影響等を意識し、設備投資の先送りが続いたが、大手企業からの需要は底堅く推移した。
欧州では、サプライチェーンの再配置の動きが一巡する中、ドイツ等の主要国の景気後退や中国等、海外経済の減速を背景にした欧州の輸出産業の停滞により、工作機械の需要は緩やかな回復となった。
中国では、不動産不況の影響を受け、設備投資を控える動きが続いたが、大手EVメーカーからの大型投資案件が下支えとなり、厳しい市況の中にあっても底堅い受注につなった。
その他のアジアにおいては、国・地域や産業により濃淡はあるが、市況は緩やかな回復傾向が続いた。
そして、2024年12月には「お客様との協創」の場として国内で7拠点目となるCS(Communication & Solution)センターとして九州CSセンター(熊本県)を開設し、半導体関連企業が集積する地域で最先端の生産加工のソリューション提供を開始する等、「ものづくりDXソリューションの展開」を着実に進めた。
利益面では、工作機械需要が緩やかな回復に留まる中、部材コスト等の高止まりに対し、内製化の拡大等、生産効率向上に注力すると共に、販売価格への転嫁に努めた。他方、需要が伸びを欠く中、工場の操業度は本格回復に至らず、利益の下押し要因となった。
■今後の見通し
オークマグループを取り巻く今後の経営環境については、米国の関税政策によるグローバルな影響、サプライチェーンの混乱等の地政学リスク、また為替変動や金融市場の不安定さが続く等、不透明な情勢が続くと予想される。
一方、工作機械の需要については、労働人口減少、脱炭素化等、社会課題への対応に伴う需要は中長期的に底堅く推移することが見込まれる。こうした中、米国の関税政策の発動に伴い、各国における米国向け輸出産業が受ける負の影響が危惧されるが、米国市場においては、製造回帰の流れ、生産拠点の再編による米国内での設備投資の進展が見込まれる。あわせて、今年度の後半以降は半導体製造装置、航空宇宙、エネルギー関連等、各種産業の設備投資の回復が進むことが期待される。
オークマグループは、グローバルでの顧客獲得、生産・業務効率向上による収益確保と体質強化を図ると共に、スマートマシンや自動化ソリューション、脱炭素化ソリューション等、ものづくりDXソリューションの提供を基本戦略として展開していく。そして成長産業からの需要を確実に取り込み、グローバル市場での成長を目指している。
2026年3月期連結業績予想は、売上高 2,300億円(前期比11.2%増)、営業利益220億円(50.2%増)、経常利益225億円(同44.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益150億円(同56.4%増)。
オークマの2025年3月期決算短信
決算参考資料