・世界的リーディングカンパニーで、1968年に日立製作所の工作機部門が分離
・半導体産業における新たなレーザ加工技術の共創と新市場への参入
アマダグループは各社のシナジーを追求することで、既存事業の拡大のみならず、半導体などの新分野にも拡大、進出し、さらなる成長を目指す。
■背景と狙い
アマダグループは、2030年に目指す姿として「長期ビジョン2030」を掲げるとともに、具体的なアクションプランとして、2025年度を最終年度とする3カ年の「中期経営計画2025」を策定し、その実現に向けて全社で取り組んでいる。とくに、アマダの資産であるレーザ技術による新領域拡大を、長期成長戦略の最も重要な活動の一つに位置付け、高い成長率が見込める eMobility、半導体、医療などの新分野への拡大、進出を目指している。中でも半導体はスマートデバイス製品の小型化、高機能化や、データセンター向けの需要急増に伴い、製造工程において急速な微細化、短納期化が求められている。これらの要求に応えるため、様々なレーザ加工に注目が集まり、アマダが保有するレーザ技術の可能性や、その技術を活用したM&Aによる事業拡大について模索してきた。
ビアメカニクスは基板穴あけ加工機の世界的リーディングカンパニーで、1968年に日立製作所の工作機部門が分離、独立。その後、事業の選択と集中を進め、ハイエンド基板穴あけ加工機メーカーへと成長してきた。ハイエンド基板は高性能半導体を搭載する基板で、近年のスマートデバイスや生成AI向けの半導体などで採用されている。これらのハイエンド基板は回路を微細化するために導通穴の増加と小径化、基板の多層化、材料の多様化など、大容量の情報を高速かつ低消費電力で処理するために最先端の技術が求められている。ビアメカニクスは、基板への貫通穴加工には、超高速スピンドルと高速高精度テーブルサーボ技術を搭載したドリル穴あけ機、基板積層工程の止まり穴加工には、高速高精度ガルバノ技術を搭載したレーザ穴あけ機(CO2レーザ加工機、UVレーザ加工機)を提供している。基板加工に関して他社の追従を許さないこれらの差別化ソリューションにより、ハイエンド基板に対する高い要求に応えている。
アマダが保有するレーザ技術などのコア技術、自動化装置、フレキシブルなグローバル生産供給
体制、およびIoTによるサービスサポート体制と、ビアメカニクスが保有するレーザによる穴あけ加工技術や、製造装置を高速、高精度化する技術は、親和性が非常に高いと考えている。また、ビアメカニクスの顧客には、アマダ微細溶接事業のレーザ加工システムによるウエハーへのマーキングや樹脂モールドのバリ取りなど、半導体製造の後工程装置向けの提案により、高いシナジーが見込める。これらの理由から、両社の融合により半導体産業においてより一層の市場拡大が狙えること、また新たなレーザ加工技術を共創し、差別化商品を開発、投入することで、顧客の技術進化ニーズにより一層、迅速かつ柔軟に応えることが可能になると判断し、合意に至った。
■合意の内容
アマダは、4月17日付けでアドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンドとの間で、同社が保有するビアメカニクスの発行済株式を全て取得する株式譲渡契約を締結した。取得価格は、510億円。株式譲渡は2025年7月を予定しており、ビアメカニクスは手続き完了後も顧客との関係をさらに発展させ、主要商品の製造、販売、サービスで顧客に貢献する。また、ビアメカニクスの事業執行体制は継続し、アマダとともにさらなる強化を図る。
■今後の展開
アマダグループとビアメカニクスとの融合により、半導体産業をはじめとする顧客に総合的なソリューションを提供する。また、両社がもつ販売・サービス網や技術提案力を相互に活用し、長期ビジョン2030の達成に向け、グローバルで「レーザ・溶接事業」をさらに拡大する。
アマダグループ各社のシナジーを追求し、業界トップの総合ソリューション提案を継続すること
で、アマダグループのポジションをより強固なものとし、持続的な成長と企業価値の向上を目指す。
<ビアメカニクス株式会社 概要>
社名: ビアメカニクス株式会社
所在地: 神奈川県厚木市田村町9番32号
設立: 1968年
代表者: 代表取締役社長 清水 秀晃
事業内容: 半導体パッケージ基板およびプリント基板向けの高精度なドリル穴あけ機 /レーザ加工機の研究・開発、設計、製造、販売、サービス
資本金: 301 百万円
売上高: 43,292 百万円 (2024年 3月期) ※ 連結ベース
従業員: 562名 (2024年 3月期) ※ 連結ベース
画像は、プリント基板ドリル穴明機