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三菱重工、浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備向けCO₂回収モジュールの初期検討を受注

・海洋CCS事業開発を加速し、カーボンニュートラルの実現を推進

・ブラジルの主要石油会社であるペトロブラス社が計画するFPSO向けに検討

・海洋インフラにノウハウを持つSBMオフショアとのパートナーシップにより、独自のCO2回収技術を新分野に適用

 三菱重工業は4月15日、SBMオフショア社(SBM Offshore、本社:オランダ)がブラジルの主要石油会社であるペトロブラス社(Petroleo Brasileiro S.A.、本社:リオデジャネイロ)と進める浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備(FPSO:Floating Production, Storage and Offloading System(注1)に特化したCO2回収モジュールの適用に向け、その初期検討に取り組むと発表した。将来的なEPC(設計・調達・建設)受注を目指し、SBMオフショア社と同社の完全子会社であるシングル ブイ ムアリング社(Single Buoy Moorings、本社:スイス)を通じて受注したもの。

 このFPSO向けCO2回収モジュールは、三菱重工が関西電力と共同開発した独自のCO2回収技術である「Advanced KM CDR Process™」とFPSO業界をリードするSBMオフショア社が進めるFPSO関連プログラム「Fast4Ward®(注2)」の理念を組み合わせて開発中のもの。ペトロブラス社が計画するFPSO上に搭載されたガスタービンからのCO2回収を想定して初期検討を行うことで、将来的な商用化に向けた分析・評価を行う。

 三菱重工は、2023年9月にSBMオフショア社とFPSO向けCO2回収モジュールの商用化に関する協業契約(注3)を締結しており、今回の初期検討はその成果の一つ。世界的に脱炭素化需要は急速な拡大が見込まれることから、同社との協業を通じて海洋CCS(Carbon dioxide Capture and Storage:CO2の回収・貯留)事業開発を加速し、グローバルなカーボンニュートラルの実現に貢献していく。

 三菱重工グループは、2040年のカーボンニュートラル達成を宣言し(MISSION NET ZERO)、エネルギー需要側・供給側双方の脱炭素化に向け戦略的に取り組んでいる。このうちエネルギー供給側の脱炭素戦略である「エナジートランジション」における柱の一つが、多種多様なCO2排出源と貯留・利活用をつなげるCCUSバリューチェーンの構築。この柱を引き続き強化することに努め、独自のCO2回収技術を活用したCCUS事業を強力に推進するとともに、ソリューションプロバイダーとして温室効果ガス排出削減に地球規模で貢献し、環境保護に寄与するソリューションの開発をさらに進めていく。

(注1):FPSOとは、洋上で石油・ガスを生産・貯蔵・積み出しする船型の浮体式設備を指す。
(注 2):Fast4Ward®とは、SBMオフショア社が開発したFPSOの標準船型「Fast4Ward®」を用いて、石油・ガスの掘削から供給までのサイクルタイム短縮を目指すプログラム。
(注 3):SBMとの協業について、詳しくは以下のプレスリリースを参照。
https://www.mhi.com/jp/news/230915.html

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