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住友化学、大阪工場で先端半導体用フォトレジストの評価設備を拡充

・前工程・後工程向けの開発・量産評価体制を強化

 住友化学(東京都中央区/大阪市中央区)は2月26日、大阪工場(大阪市此花区)において、液浸ArF(フッ化アルゴン)や厚膜i線など先端半導体プロセス向けフォトレジストの新製品開発および量産評価体制を強化するため、新たに先端前工程および先端後工程用の開発・品質評価設備を増強・導入することを決定したと発表した。これらの新設備は、2025年度から2026年度上期にかけて順次稼働を予定しており、先端半導体メーカーからの受注拡大を目指す。

 フォトレジストは、半導体製造プロセスにおいて回路パターン形成に使用される感光性樹脂であり、半導体製造におけるキーマテリアルの一つ。半導体関連市場は、生成AIの普及、IoT化の進展、これらに伴うデータセンタの拡充などにより、今後も高い水準の成長が見込まれている。

 住友化学は、ファインケミカル事業で培った有機合成技術をもとに、世界最高水準の製品設計・評価技術を確立してきた。住友化学が世界トップクラスの技術力を有する液浸ArFレジストは、半導体の微細化・多層化に伴い、今後も安定的に需要が拡大する見込み。また、半導体後工程の技術革新に伴い、高アスペクト比対応の厚膜i線レジストの需要も伸長する見通し。

 こうした背景を踏まえ、今回、液浸ArFレジストおよび厚膜i線レジストの開発・量産評価体制を強化するため、それぞれのレジスト用途での高解像度化に対応した※先端露光機の増強・導入を決定した。

 住友化学は、これまでにも国内工場の能力増強、先端品の開発・量産評価棟の新設、韓国拠点におけるライン新設など、数々の取り組みを進めてきた。今回の投資も含め、ここ数年での半導体材料分野の設備投資は1,000億円レベルに到達する。最先端EUVレジストについては足元販売を順調に拡大していることに加え、独自の有機分子レジストなどの次世代EUV向け製品の開発も進めている。今後も、こうした先端レジストの事業拡大を加速することで、2030年にはICT&モビリティソリューション部門でコア営業利益1,000億円を目指す。 


・液浸ArF用露光機:薄膜レジストを適用した際に前工程で必要となる極微細化対応が可能。
・厚膜i線用露光機:後工程のプロセスの特性から必要となる厚膜のレジストを適用した際に、深部まで加工がしやすく、高アスペクト比(厚膜かつ、高解像度)のパターン対応が可能。

■ここ数年の主な投資案件
 稼働時期:案件/拠点

2023年:液浸ArF、EUVフォトレジストの製造ラインを増設/大阪工場

2023年:半導体用高純度ケミカルの製造ラインを増設(高純度アンモニア水)/韓国(東友ファインケム社)

2024年:液浸ArFフォトレジストの製造プラントを新設/韓国(東友ファインケム社)

2024年:半導体用高純度ケミカルの製造ラインを増設/(高純度硫酸)/愛媛工場

2024年:次世代事業開発へ向けた研究センターを新設/韓国(東友ファインケム社)

2024年:半導体用高純度ケミカル増強(稼働開始予定)/米国
(Sumika Semiconductor Materials Texas Inc.)

2025~26年(予定):/先端半導体用フォトレジストの評価設備を拡充(今回のリリース)/大阪工場

 ニュースリリース

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