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プライメタルズ テクノロジーズ、インドネシアGRP向けエンドレス熱延設備を受注

 ロンドン2025年2月 25日

・GRPはヨーロッパ市場におけるアジアきってのゼロカーボン熱延コイルサプライヤーに

・GRPは数百万ドル規模の契約で、中国を除くアジアで初の欧州向け炭素排出量ゼロの熱延コイル(HRC)サプライヤーとなる。

・革新的な Arvedi ESP 技術によるエンドレス熱延コイル(eHRC)の生産は、世界の鉄鋼生産のあり方を変革し、主要な国際鉄鋼メーカーから高い信頼を得ている。

・GRPは、EUの炭素国境調整メカニズム制度が開始される2027年までに欧州を含む国際市場への輸出準備を整える予定。

 プライメタルズ テクノロジーズ(Primetals Technologies)は、インドネシア最大の民間鉄鋼メーカーであるGunung Raja Paksi Tbk(GRP)と画期的な契約を締結しました。本契約により、GRPはヨーロッパ市場で高まるゼロカーボン熱延コイル(Hot Rolled Coil: HRC)の需要に応える、中国を除くアジア地域では初の鉄鋼プラントとなります。さらに、GRPは東南アジアにおいて最も炭素排出が少ない鉄鋼メーカーとしての地位を確立することとなります。

 GRPが生産プロセスに統合するプライメタルズ テクノロジーズのArvedi ESPは、鋳造と圧延工程をエンドレスモードで直接リンクさせる画期的な技術です。厚さ1ミリメートル以下の薄板や超薄板の生産を可能にし、インドネシアにおける冷間圧延コイル鋼の大部分がこの技術による製品となります。 GRPはまた、野心的な転換プログラムの一環として、電気アーク炉(EAF)による製鋼プロセスも導入する予定です。

■温室効果ガス排出ゼロ
 エンドレスストリップ生産圧延Arvedi ESP(Endless Strip Production: ESP)は、化石燃料を使用せずに圧延鋼材を生産する世界初の技術であり、温室効果ガスの直接排出ゼロを実現しています。 GRPでは2027年までに生産を開始し、同社の低炭素鋼の生産量を現在の130万トンから250万トンに倍増する計画を推し進めます。生産量の50%以上はEU向けとなります。 プライメタルズ テクノロジーズは、高速連続鋳造機と3+5スタンド圧延機を含む設備機械一式に加え、ESPプラント全体の電気および自動化システムを含むフルパッケージを供給します。

 この契約は、低炭素鋼の先駆者としてのGRPのアジアにおける地位を確立するとともに、EUの炭素国境調整メカニズム(Carbon Border Adjustment Mechanism: CBAM)下での輸出競争力を一層強化するものです。 さらに、GRPの、業界をリードする「プロジェクトグリーンドラゴン」構想での最新のマイルストーンとなります。

 GRPのExecutive Chairman 、Kimin Tanoto氏は、次のように述べています。「GRPは、持続可能な鉄鋼生産の新たな基準を確立し、市場で高まっているグリーンプレミアムを獲得しています。 GRPとプライメタルズ テクノロジーズ社とのパートナーシップを通じて、インドネシアの鉄鋼産業の国際競争力を高め、その未来を守るために投資しています。これは、インドネシア政府がこの重要な産業を持続可能に拡大し、2060年までにネットゼロを達成する取り組みに貢献するものです。 GRPは、アジアのネットゼロの未来の実現に向け、また、世界で進展するカーボン取引制度の中での競争力を得るために、これほど先進的な技術を採用する勇気を持った、(中国を除く)アジアで唯一の鉄鋼メーカーです。」

 Arvedi ESPプラントは、高品質で均質性に優れた極薄型HRCの生産能力において、現在市場に存在する他のあらゆる技術を凌駕しています。 この技術には、CO₂の直接排出ゼロ、エネルギー消費の削減、そして冷間圧延および焼鈍工程の省略という環境面での利点もあり、世界の鉄鋼業界における実質的な排出削減を牽引しています。

■高度なプラント自動化ソリューション
 一方、Arvedi ESPがプラント自動化のために採用しているAI学習ツールを始めとするの高度なデジタルソリューションは、インターネットオブシングス(IoT)がどのようにしてGRPのようなプラントでの鉄鋼生産を革新し、アジア地域における新たな変革の局面を切り開いているかを示しています。

 プライメタルズ テクノロジーズ Executive Vice President and Head of Global Business Unit Upstream、Andreas Viehboeck氏は以下のように述べています。

 「私たちは、グリーンスチールへの意欲という点においてアジアで最も先進的であるプロジェクトをGRPと共に遂行できることを、ただただ楽しみにしています。
 GRPは、信頼性が高く、革命的なArvedi ESPラインを採用する世界13番目のプラントであり、中国を除くアジアでは初の導入例となります。 Arvedi ESP技術は化石燃料を一切使用せず、他の技術よりも高いエネルギー節約、優れた原料歩留まり、製品品質を保証します。 本プロジェクトにより、GRPはインドネシアと国際市場の両方で際立った存在となり、自動車用途を含む付加価値高い高品質製品のニッチ市場への参入が可能になります。」

 GRP Chief Transformation Officer、Kelvin Fu氏は以下のように述べています。「プライメタルズ テクノロジーズのArvedi ESPの採用により、GRPは実質的に一夜にして、有名な原材料メーカーからハイエンドの鉄鋼製品メーカーへと飛躍をとげました。これほどすみやかに事業カテゴリーを移動した鉄鋼メーカーは世界にも例がありません。 GRPが新たにESPを生産プロセスに統合することは、インドネシアの優秀な人材のスキルアップに役立つだけでなく、国内外の市場向けに、多様で、より高品質な鉄鋼製品を提供することになります。 この戦略的投資は、急増する世界需要に対応できるよう生産能力を高めるだけでなく、環境への影響を最小限に抑える最先端技術の導入でもあります。」

 PT Gunung Raja Paksi Tbk (GRP)は、インドネシア最大級の民間鉄鋼会社Gunung Steelグループの一員です。 1970年に北スマトラ州メダンで設立された同社は、溶鋼生産から開始し、徐々にビーム鋼や鋼板の生産へと事業を拡大していきました。 1991年、PT Gunung Naga MasはPT Gunung Raja Paksi(GRP)に社名を変更しました。 GRPはインドネシアの西ジャワ州チカランバラットに敷地面積200ヘクタールを超える拠点を構えています。

 鉄鋼業界で50年以上の経験を持つGRPは、年間130万トンの高品質低炭素鋼を生産し、国内外の機関から認定を受けています。 GRPの事業は、SDGs、グローバルレポーティングイニシアティブ(GRI)、レスポンシブルスチールの原則などの国際基準に沿って行われています。

 同社は、献身的な人員と強力な企業価値観に支えられており、 ESG戦略ハンドブックを2022年10月に、ネットゼロロードマップを2023年2月に発表しました。

 ニュースリリース
 *リリース内容から「ですます調」で表記しています。

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