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東洋紡、つるがフイルム工場の設備を改造、2026年度量産開始へ

・液晶ディスプレー用フィルム「コスモシャインSRF®」生産能力を3 割増強

・最大3 メートル幅の生産が可能、大型化ニーズに対応

 東洋紡(大阪市北区)は2月7日、液晶ディスプレーなどの偏光子保護用超複屈折フィルム「コスモシャインSRF®」の生産能力を3割増強するため、つるがフイルム工場(福井県敦賀市、敦賀事業所内)のPETフィルム製造設備を改造することを決定したと発表した。2025年度中に増産体制を構築し、2026年度より改造した新設備での量産開始を目指す。新設備では、最大で3メートル幅の「コスモシャインSRF®」の生産が可能。ディスプレーのさらなる大型化ニーズに対応する。

 東洋紡が2013年に上市した「コスモシャインSRF®」は、液晶ディスプレーなどの偏光子保護用途として唯一のPET製のフィルム。独自の製膜・素材技術と「超複屈折」という発想により、PETフィルム特有の着色(色むら)を解消。耐水性や耐久性に優れるPET製の「コスモシャインSRF®」は、従来同用途で主流だったトリアセチルセルロースなど他の素材に対して、吸湿による画面の反りやゆがみが生じにくいことが高く評価され年々採用が拡大。現在、世界の液晶テレビ向け偏光子保護フィルム市場で約60%※1のシェアを占めている。今後も、液晶ディスプレー画面の大型化に伴い、同市場は2030年まで年率約3%※2の成長が見込まれる。

 東洋紡は、かかる需要に対応するため、つるがフイルム工場のPETフィルム製造設備の改造を決定。速やかに「コスモシャインSRF®」の生産能力の増強を図る。改造後の新設備では、従来品より幅広の3メートル幅の「コスモシャインSRF®」の生産が可能。偏光板メーカー顧客のさらなる大型化要請にも柔軟に対応しながら、さらなる採用の拡大を目指す。これにより、つるがフイルム工場の既存の1ラインと犬山工場の2ラインと合わせて、計4ラインで「コスモシャインSRF®」の生産が可能。最大約3割の生産能力の増強を実現する。

 2025年中期経営計画において、工業用フィルムを重点拡大事業に位置付ける東洋紡は、「コスモシャインSRF®」をはじめ、AIサーバーやデータセンター向けに需要伸長が見込まれる積層セラミックコンデンサの製造工程用離型フィルム「コスモピール®」や、燃料電池車や風力発電施設のモーター向けに展開するPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム「テオネックス®」など、東洋紡独自の工業用フィルム製品により、顧客の幅広いニーズに対応していく。

※1: 2025年2月7日時点、東洋紡推定。
※2: 2025年2月7日時点、調査会社資料などをもとに東洋紡推定。

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