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川崎重工 、24年4〜12月売上収益は14.5%増の1兆4,073億円 、24年度予想は2兆1,600億円(16.8%増)に修正

 川崎重工業が2月7日に発表した2025年3月期第 2四半期(4〜12月)業績によると、連結受注高は前年同期比5,318億円増加の1兆8,219億円、連結売上収益は前年同期比1,782億円増収(14.5%増)の1兆4,073億円、事業利益は前年同期比782億円増益の790億円、税引前四半期損益は前年同期比823億円改善して644億円の利益、親会社の所有者に帰属する四半期損益は前年同期比576億円改善して441億円の利益となった。

 世界経済は、米国は堅調な個人消費に支えられて底堅く推移しているが、新政権によるエネルギー政策の見直しや関税措置などの政策動向、長期化する中国経済の停滞や地政学リスクの懸念など、先行きは依然として不透明な状況。
 国内においては、物価上昇の影響もあり消費マインドの改善に足踏みがみられるものの、好調な雇用・所得環境や設備投資の拡大、インバウンド需要の増加等、内需主導で緩やかな景気回復が持続すると見込まれる。一方、海外景気の下振れリスクや日銀の追加利上げ、それに伴う為替相場の変動など、経済への影響には注視が必要。
 このような経営環境の中で、第3四半期連結累計期間における同社グループの連結受注高は、航空宇宙システム事業、エネルギーソリューション&マリン事業などでの増加により、前年同期比で増加となった。連結売上収益については、航空宇宙システム事業を中心とした各事業での増収により、前年同期比で増収となった。
 利益面に関しては、事業利益は、航空宇宙システム事業、精密機械・ロボット事業での改善や、エネルギーソリューション&マリン事業での増益などにより、前年同期比で増益となった。親会社の所有者に帰属する四半期損益は、事業利益の増加などにより、前年同期比で改善となった。

 なお、川崎重工グループの潜水艦修繕職場における不適切事案及び舶用エンジンにおける検査不正については、社長を委員長とするコンプライアンス特別推進委員会、並びに外部有識者で構成するそれぞれの特別調査委員会を設置し、昨年12月及び本年1月にそれぞれの特別調査委員会より個々の事案における事実関係の調査や原因分析等に関する中間報告書を受領し、その内容を公表した。特別調査委員会の調査は継続中。引き続き、川崎重工グループとして、コンプライアンス・ガバナンス体制の再構築や企業風土の改革に取り組んでいく。
 本件による業績への影響については、今後の調査結果を踏まえ、影響が見込まれる場合には速やかに業績見通しへ反映していく。

 川崎重工2025年3月期第3四半期データ

■セグメント別業績の概要
<航空宇宙システム事業>
 航空宇宙システム事業を取り巻く経営環境は、防衛省向けについては抜本的な防衛力強化という防衛省の方針のもと、引き続き需要増が期待される。民間航空機については、ボーイング社でのストライキの影響等があるものの、航空旅客需要は昨年度から増加し、大幅に回復している。
 このような経営環境の中で、連結受注高は、防衛省向けや民間航空エンジン分担製造品などが増加したことにより、3,476億円増加の6,801億円となった。
 連結売上収益は、民間航空エンジンの運航上の問題に係る損失を計上した前年同期に比べ、防衛省向けや民間航空エンジン分担製造品などが増加したことにより、1,189億円増収の3,544億円となった。
 事業損益は、増収などにより、前年同期に比べ649億円改善して293億円の利益となった。

<車両事業>
 車両事業を取り巻く経営環境は、インバウンドの復調等により鉄道乗客数は新型コロナ影響前の約9割まで回復しており、鉄道車両への投資は再開されつつある。一方で、電子部品を中心とした機器調達の長期化や物価高騰の影響には注視が必要。中長期的には、海外市場における都市交通整備、アジア諸国の経済発展に伴う鉄道インフラニーズなど、今後も比較的安定した成長が見込まれる。
 このような経営環境の中で、連結受注高は、前年同期並みの410億円となった。
 連結売上収益は、国内・アジア向けが減少したものの、米国向けが増加したことなどにより、前年同期に比べ68億円増収の1,427億円となった。
 事業利益は、増収などにより、前年同期に比べ15億円増益の41億円となった。

<エネルギーソリューション&マリン事業>
 エネルギーソリューション&マリン事業を取り巻く経営環境は、世界的なカーボンニュートラルの実現を目指す動きの影響を強く受け、当社が強みとする水素製品をはじめ、脱炭素ソリューションに関する問い合わせや協力要請が増加している。また、国内外の分散型電源需要及び新興国におけるエネルギーインフラ整備需要は依然根強く、国内ごみ焼却設備の老朽化更新需要も継続している。一方、原材料価格や資機材・燃料費の継続的な上昇等による受注、売上収益への影響には注視が必要。
 このような経営環境の中で、連結受注高は、LPG/アンモニア運搬船や防衛省向け潜水艦の受注増加などにより、前年同期に比べ1,472億円増加の4,285億円となった。
 連結売上収益は、国内向けごみ処理施設整備・運営事業の大口案件や防衛省向け艦艇用機器での増収などにより、前年同期に比べ266億円増収の2,609億円となった。
 事業利益は、増収や持分法による投資利益の増加などにより、84億円増益の251億円となった。

<精密機械・ロボット事業>
 精密機械・ロボット事業を取り巻く経営環境は、精密機械分野では、欧米市場を中心とした需要の減少があるものの、低迷が続いている中国建設機械市場は、小型機を中心に回復傾向が見られる。ロボット分野では、半導体メモリ市場の価格と需要が底を打ち、AI関連等の新たな成長を取り込みつつ、前年度の後半から半導体製造装置向けロボットの需要が回復している。
 一方で、一般産業用ロボットは、最大の需要国である中国の景況が依然として低調だが、人件費上昇や労働力不足による自動化需要は確実に高まっている。
 このような経営環境の中で、連結受注高は、半導体製造装置向けロボットや中国建設機械市場向け油圧機器が増加したことなどにより、前年同期に比べ282億円増加の1,858億円となった。
 連結売上収益は、半導体製造装置向けロボットや精密機械分野での増収を主要因として、前年同期に比べ101億円増収の1,688億円となった。
 事業損益は、増収に加え、これまで進めて来た価格転嫁等の収益改善活動の効果などにより、前年同期に比べ76億円改善して32億円の利益となった。

<パワースポーツ&エンジン事業>
 パワースポーツ&エンジン事業を取り巻く経営環境は、主要市場である米国と欧州では二輪車の需要は概ね堅調に推移しているが、一方で四輪車は軟調傾向にある。東南アジア市場は一部では回復が見られるが、依然として低い水準で推移しており、また中国市場では景気悪化の影響から需要が減少している。全体的にはメーカー各社の販売施策により市場の購買マインドは保たれているが、米国新政権の追加関税措置の影響が懸念される。
 このような経営環境の中で、連結売上収益は、リコールや生産遅延等の影響で北米向け四輪車が一時的に減少したものの、二輪車の増加と円安が収益を押し上げたことにより、前年同期並みの4,172億円となった。
 事業利益は、増産投資による固定費の増加などにより、前年同期に比べ32億円減益の287億円となった。

<その他事業>
 連結売上収益は、前年同期に比べ28億円増収の630億円となりました。事業利益は、前年同期に比べ21億円増益の36億円となった。

 川崎重工グループは「グループビジョン2030」において、注力するフィールドを「安全安心リモート社会」「近未来モビリティ」「エネルギー・環境ソリューション」とし、手術支援ロボットをはじめとする医療・ヘルスケア事業、配送ロボットや無人輸送ヘリコプタの事業化、カーボンニュートラル社会の早期実現に向けた水素事業、CO2分離・回収事業や電動化の推進など、社会課題ソリューション創出への取組を着実に進めている。更に、地震や豪雨などにより甚大な被害を受けた被災地の復興支援に協力するとともに、今後可能性が高まる様々な自然災害へ対応できる支援パッケージの充実に努めている。

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 2025年3月期連結業績見通しは、売上収益2兆1,600億円(前期比 16.8%増)、事業利益1,300億円(同181.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益780億円(同207.4%増)。

 2025年3月期の連結業績については、パワースポーツ&エンジン事業は概ね堅調ながら、生産変動や物流リスクを織込み、売上収益は前回公表値から200億円減収の2兆1,600億円となる見通し。
 事業利益はパワースポーツ&エンジン事業における減収に伴う減益に加え、航空宇宙システム事業におけるボーイング向け分担製造品の納入機数減少やPW1100G-JMエンジンの運航上の問題に係る外貨建返金負債の為替評価替え
に伴う減益があるものの、エネルギーソリューション&マリン事業における採算性の改善等により、前回公表値据え置きの1,300億円となる見通し。
 為替レートの見直しによる期末債権の評価等による好転を反映し、税引前利益は前回公表値から50億円増益の1,000億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前回公表値から50億円増益の780億円を見込んでおり、税後ROICは6.9%、ROEは11.9%となる見通し。
 連結受注高は、車両事業における米国向けの増加や、航空宇宙システム事業を中心とした防衛省向けの増加により前回公表値から1,300億円増加の2兆5,600億円となる見通し。

 業績予想における為替レートは、1ドル=150円、1ユーロ=160円を前提としている。

 川崎重工業の2025年3月期第 3四半期決算短信

 第3四半期決算説明資料

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