新年あけましておめでとうございます。
本日ご臨席賜りました関係省庁、関係団体、会員の皆様には日頃より当協会(業界)の活動に多大なるご支援ご尽力を賜り心より御礼申し上げます。
まず、昨年からのエンジン業界を取り巻く世界経済の動向につい
てお話します。
昨年は国内では総理大臣が交代し、アメリカでは大統領選挙が行われました。内閣府による月例経済報告(12 月)によれば、『先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、アメリカの今後の政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。』と述べられています。海外経済の先行きに対する不透明感は依然として強く、今年も引き続き慎重な経済運営が求められると予想されます。
次に、当協会が取り扱う陸用エンジンの昨年の生産実績について
紹介します。当協会では生産状況を毎月ウェブサイトで公開してい
ます。一昨年、2023 年1 月から12 月までの国内外を合わせた生産実績は1,017 万9千台(前年比76.1%)と2 年連続で減少しました。 また、昨年 2024 年 1 月から 9 月までの生産実績は 623 万 9 千台(前年比 76.5%)でした。内訳は、ガソリンエンジンが 487 万 3 千台(同74.5%)、ディーゼルエンジンが 128万8 千台(同83.8%)、ガスエンジン7 万9千台(同 99.7%)となっています。このペースが続けば、2024
年 1 月から 12 月までの総生産台数は 831 万 9 千台(前年比 81.7%)となり、3年連続の減少、ならびに900万台を割る見込みです。
カーボンニュートラルへ向けた大きな転換期にある中で、特にガソリンエンジンは大きな変化が見られました。 また、ディーゼルエンジンも欧米の購買力の低下、中国景気の低迷などにより、 需要が減少する傾向が続くとみられています。
さて、当協会は昨年度の令和5 年度に75周年を迎え、今年度の令和 6 年度は、76 年目の新たなスタートとして位置づけ、新たな事務所での活動を開始いたしました。 そして、その最重要事業活動方針として、① カーボンニュートラルへ向けた活動の継続、② 協会旧建屋・土地の売却ならびに『分科会による資産活用検討』を2大方針として掲げ進めております。
①「陸内協におけるカーボンニュートラルへ向けた活動」という観点から、令和3年度に“陸内協カーボンニュートラルシナリオ”を作成し、ウェブサイトで公開しました。このシナリオは、昨年 3 月に2度目の更新を行いました。シナリオでは、用途によっては電動化が進むものの、無電化地域などでは内燃機関が必須となると述べています。
昨年、第 24 回技術フォーラム 2024 という当協会のイベントで、カーボンフリー燃料である水素を用いた内燃機関や、進展している合成燃料についての欧州の動向などについて講演を行い、議論を深めました。e-fuel や水素燃料といったカーボンニュートラルが期待される燃料は、供給量やコストの面で多くの課題がまだ残っています。
同時に、従来燃料に対する賦課金などの制度設計も進行しています。
今後も、 エネルギー業界との意見交換を通じて情報収集を続け、会員の皆様との議論を重ね、産業用エンジン業界としてのカーボンニュートラルシナリオを磨き上げていきたいとと考えています。
②「旧社屋売却から資産活用検討」については、予定通り昨年11月に売却が完了しました。その資産を活用するための新しい事業項目の抽出と調整も完了し、新たな年度からの活動展開が予定されています。この新しい事業活動により、 業界への更なる貢献が期待されています。
最後に、本年が皆様にとって良き年となりますよう心から願って
おります。そして、皆様の更なる発展と幸多き年となりますように、心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。