竹内製作所グループは第三次中期経営計画(2023年2月期から2025年2月期まで)において、①人的資本への投資、②製品開発のスピードアップ、③生産能力の増強、④販売網の拡充とアフターパーツの拡販、⑤サステナビリティ経営の推進を重点施策として取り組んでいる。
2022年9月からセミノックダウン方式によりクローラーローダーの生産を開始した米国サウスカロライナ州の工場に続き、2023年9月に長野県小県郡青木村の青木工場において、4トンから9トンのミドルクラスのショベルの生産を開始している。中期経営計画での生産能力目標を2024年8月末に達成し、既存の本社工場と合わせた生産能力は概ね1.5倍となった。
また、2024年7月にはホイール式油圧ショベル「TB370W」を市場投入した。新製品を加えた豊富な製品ラインナップで、市場シェアの拡大を図っている。
中期経営計画の最終年度となる2025年2月期の第3四半期連結累計期間(2024年3月1日から2024年11月30日まで)における同社グループの販売台数は、主に欧州市場での建設機械の需要減速により、前年同期を下回った。
欧州では、低調な経済環境が継続し、建設機械のみならず全般において投資意欲が減退している。ミニショベル及び油圧ショベルの需要は、国ごとに差はあるものの、総じて低調に推移しており、販売台数は前年同期を大きく下回った。
一方、北米ではミニショベル、油圧ショベル、クローラーローダーの主要製品の販売が順調に推移し、販売台数は前年同期を上回った。なお、クローラーローダーについては、買入部品の不具合のため、販売の一部が第3四半期にずれ込んだ影響で販売台数が大きく増加した。
第3四半期連結累計期間の受注高は1,197億3千万円(前年同期比4.6%減)となった。受注高が前年同期比で減少しているが、これは主に欧州市場の需要が低調に推移していることによるもの。第3四半期連結会計期間末の受注残高は、前連結会計年度末に比べ466億7千2百万円減少し、822億2千4百万円となった。
■セグメント別の経営成績
(日本)
日本セグメントは、売上高のほとんどが欧州ディストリビューター向けの販売で占められている。欧州では、住宅ローン金利の高止まりとエネルギー価格をはじめとした生活費の高騰により住宅需要が低迷しており、建設投資などの非住宅関連の建設工事需要も軟化している。このような環境下、欧州ディストリビューター向けの販売台数は前年同期を大きく下回り、売上高は495億2百万円(前年同期比12.1%減)となった。セグメント利益は、製品価格の値上げ、及び円安影響等により296億1千万円(同42.0%増)となった。
(米国)
米国セグメントでは、住宅ローン金利と住宅価格の高止まり、次期大統領による経済政策の見極め等により、新築住宅の着工件数は調整局面が継続していますが、人口増に対する慢性的な住宅不足を背景に、住宅に対する潜在需要は根強く、製品販売は順調に推移した。なお、クローラーローダーについては、買入部品の不具合により、第2四半期で生産が停滞したため、販売の一部が第3四半期にずれ込んだ影響で販売台数が大きく増加した。販売台数の増加に加え、製品価格の値上げ、及び円安影響等により、売上高は973億7千1百万円(前年同期比14.7%増)となり、セグメント利益は101億1千2百万円(同32.2%増)となった。
(英国)
英国セグメントでは、住宅ローン金利の高止まりとエネルギー価格をはじめとした生活費の高騰が住宅需要を押し下げており、市場全体で建設機械の需要が減速している。このような環境下、販売促進のための値下げを実施したことにより、第3四半期の販売台数は前年同期を大きく上回った。
第3四半期累計期間の販売台数は前年同期を下回ったが、円安影響等により、売上高は109億8千3百万円(前年同期比8.6%増)となり、値下げを実施したこと等により、セグメント利益 は2億8千1百万円 (同70.1%減)となった。
(フランス)
フランスセグメントでは、住宅ローン金利の高止まりとエネルギー価格をはじめとした生活費の高騰が住宅需要を押し下げており、市場全体で建設機械の需要が減速している。このような環境下、販売促進のための値引きにより製品の販売台数は前年同期と同水準を維持したことに加え、円安影響等により、売上高は84億8千1百万円(前年同期比14.9%増)となり、セグメント利益は7億2千6百万円(同8.5%減)となった。
(中国)
中国セグメントは、日本セグメントに向けた建設機械の部品の製造・販売が事業の大半であり、外部顧客への売上高は6千4百万円(前年同期比23.0%減)となり、セグメント利益は2億5千8百万円(同234.2%増)となった。
■今後の見通し
2025年2月期(2024年度)の連結業績予想は、2024年10月10日発表のとおり。連結売上高は、 2,155億円(前期比1.4%増)、営業利益は445億円(同26.1%増)、経常利益は420億円(同18.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は300億円 (同14.7%増)になる見通し。
なお、第3四半期以降の為替レートは、1米ドル=138円、1英ポンド=179円、1ユーロ=152円、1人民元=19.30円を前提としている。