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カナデビア(旧・日立造船)、山梨県都留市に水電解スタックの量産工場建設、約 80 億円投資

・経済産業省「GX サプライチェーン構築支援事業」に採択

 カナデビア(旧・日立造船)は11月19日、固体高分子(PEM:Polymer Electrolyte Membrane)型水素発生装置の中核機器となる水電解スタックの量産工場を山梨県都留市に建設すると発表した。新工場は、山梨県都留市厚原地内の新工業団地に建設予定で、水電解スタックの生産能力は年産 1GW(電解効率 5 kWh/Nm3 として製造水素換算 15 万 7 千トン/年)、設備投資額は総額 80 億円規模になる。

 カナデビアは中期経営計画「Forward 25」において、脱炭素化事業を含む重点投資対象分野に 1,400 億円の投資を計画しており、今回設備投資はその一環。

 また、カナデビアは経済産業省が公募する「GX サプライチェーン構築支援事業※1」に「固体高分子(PEM)型水電解スタック・システムの量産化」をテーマに申請していたが、このほど採択されている。

 新工場は、部素材のストックヤード、セル積層エリア、スタック組立エリア、エージングエリアなどから構成され、 画像診断などの DX 技術を導入するなどスタック製造工程の自動化と省力化を図り、トレーサブルな製造管理システムを構築する。それにより、操業後のタクトタイムの改善にも取り組み、計画値以上の生産能力強化も目指す。2025 年早々に設備設計に着手し、2028 年度末までに完成させ、操業開始を計画している。

 今回の工場建設は、カナデビアの強みであるインテグラル型の設計技術によって製品化された水電解スタックの量産化を通じて、コストや供給能力、納期といった製品競争力を強化することを目的としており、カナデビアは国内外向けに水素発生装置を販売するだけでなく、キーコンポーネントである水電解スタックのパートナー企業への供給にも積極的に取り組み、 アフターサービス事業も並行して展開していく考え。また、カナデビアグループが保有するメタネーションやバイオガスシステム、海水淡水化設備等の脱炭素関連製品とのシステム統合によるソリューション提供も国内外で展開していく。新設する国内マザー工場を起点として国内外に水素発生装置の製造拠点を順次展開し、水素関連事業を強化、拡大することで、2030 年代に水電解スタック・システムを基点とする水素関連事業で売上高 1,000 億円以上、2040 年代には 2,000 億円以上を目指す。

 水素発生装置の世界の導入容量は、2024 年末までに 5GW に達し、2030 年までに 230GW に達するとの試算があり、開発初期段階のプロジェクトまでも考慮すると、520GW 程度にまで拡
大するとの予測が報告されている。※2
 また、日本をはじめとする水素先進国は、水素社会実現に向けた需要創出と拡大を喫緊の課題と捉え、様々な政策支援を企図し、公表している。今回の設備投資は、この事業環境の過渡期を好適な機会と捉えたものであり、カナデビアは将来の大型装置の産業需要や脱炭素化システムの社会実装の要請に応え、水素社会とカーボンニュートラルの実現に貢献していく。

※1 水素発生装置、浮体式洋上風力発電設備、ペロブスカイト太陽電池、燃料電池などに加えて、これらの関連部素材や製造設備について、世界で競争しうる大規模な投資を計画する間接補助事業者、または現に国内で生産が限定的な部素材や固有の技術を有する製造事業者などに対して補助を行うもの。
※2 International Energy Agency(IEA)”Global Hydrogen Review 2024“

<新工場の概要>
建設地:山梨県都留市厚原地内 新工業団地
生産機種:PEM 型水素発生装置の水電解スタックおよびシステム(将来計画)
生産能力:1GW/年 以上
完成予定:2028 年度末
従業員数:約 100 人(操業開始時)
投資額:約 80 億円

 ニュースリリース

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